みおこし

情欲の悪魔のみおこしのレビュー・感想・評価

情欲の悪魔(1955年製作の映画)
3.3
なんだか物騒なタイトルですが(笑)、ドリス・デイ主演のミュージカル映画。

”トーチソング(報われない恋を歌ったラブソング)”の女王と称される実在の歌手ルース・エッティングと、そんな彼女を見初めるたシカゴ出身のアメリカ人ギャングのマーティン・スナイダーの半生を描いた伝記映画。
ルース役にはもちろんドリスが扮し、マーティン役には稀代のギャング俳優ジェームス・キャグニーというこれ以上ないほどのキャスティング。スターの卵を大物ギャングが見出してスターダムにのし上がっていくといういわゆる『スター誕生』的なお話かなと思いきや、次第にマーティンのルースに対する歪んだ愛情が浮き彫りに…。彼女が売れれば売れるほど、自分の手中において全てを支配したがっていき、異性と話そうものなら大激怒。まだ女性の立場が明らかに弱かった時代のお話、愛する人からのそういった行為が愛情の裏返しなのか行き過ぎたことなのか分からず、葛藤する姿が悩ましかったです…。キャグニーの鬼気迫るDV夫ぶりがまたコワい。
そんな中、彼女を支え続けた心優しいピアニストのアルダーマンとの許されぬ恋もあったりと、まさに波乱万丈な展開に釘付け。ラストはびっくり仰天の泥沼展開となり、これが実話だと知ってさらにびっくり。当時のミュージカル映画とは一線を画した1本なのは間違いなし!!

楽曲としてはジャケット写真に使われている、ドリスが青いドレスを着てゴージャスに踊る"Shaking the Blues Away"がすごくカッコいい!でも、それ以上にアルダーマンに想いをそれとなく伝えようとするバラード"I'll Never Stop Loving You"が個人的には印象に残りました。
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