Joker

ファントム・スレッドのJokerのネタバレレビュー・内容・結末

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

レイノルズはアルマを好きになるが、それは恋に落ちというよりか、自分の理想の美を見つけたというか、自分の創作活動の源となるものを見つけたからだと思う。

レイノルズにとってアルマは完璧だった。だからスキルや教養もないアルマを家に住ませて養い、どこにでも連れて行ったのだと思う。
しかし彼はアルマを愛してるとは言ったが、それは彼女の中身ではなくその見た目、自分にとっての美を体現する存在を愛してるだけであって結婚する気は無かったと思う、アルマのせいで生死を彷徨うまでは。

一方のアルマは大人しそうで気さくな感じもするが、教養がなく、わがままで他人の意見を聞かずに自分の物差しでしか判断できない女性で自分は終始彼女を好きになることができなかった。彼女が何よりもいけなかったところは、レイノルズを愛してると言いつつも彼を全く理解しようとしてなかったところだと思う。さらに自分のことを分かってくれないと感じるとレイノルズに服毒させようとする精神の弱さも欠点だったと思う。

そんなアルマにレイノルズがプロポーズするのも、毒で生死を彷徨い人生を見つめ直したこと、そして弱った自分に徹底的に介護してくれたことが転機になったからであって、好きな度合いが増えることはあっても最終的には愛することはなかったのではないかと個人的には思う。

意図せずとも結果的に男を自分の元に引きつけ、最後の夕食のシーンの時にレイノルズがおそらく毒キノコに気付いてそれをアルマの顔を伺いながら食べるが、一切動揺を見せない彼女の悪女ぶり、ファムファタールぷりと、
アルマが自分のことを理解しようとせず、仕事に支障をきたす存在であると分かっていても、そんな彼女に魅了されどんどんのめり込んで行くレイノルズが少し切なかった。

ストーリー以外の話だと、主演のダニエル・デイルイスの自信に溢れたキャラクターと服を綺麗に着こなす紳士らしさと言うか洗練された姿がめっちゃくちゃカッコよかった。ラストオブモヒカンの時は、たくましくて、正に漢って感じのカッコよさだったけど、今回はエレガントで洗練されたカッコよさで歳をとってもカッコよくあり続けるデイルイスが素敵で羨ましかった。
歳をとったデイルイスのカッコいい姿をこれからもっと観たかったので、今作で俳優業引退なのは本当に残念でしかたない。
よく休んで、またやりたくなったらいつでもスクリーンに戻ってきてほしいと思う。

長くなったけど、アルマの男を引きつけ、どんどん魅了していくファムファタールぷりと、冷静で物事をよく見極めるがそんなアルマにどんどんのめり込んでいってしまう天才仕立て屋の少し切ない愛をテーマにした物語だった。
史実ではないので明確なオチがあってもよいと思ったが、2人の性格や思いと、彼らの関係が丁寧に描かれていて見応えがあったと思う。
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