EDDIE

ベン・イズ・バックのEDDIEのレビュー・感想・評価

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.7
薬物依存からの脱却を図る息子ベンと母ホリーの対峙。本心でぶつかり続ける母親とは対極的に、息子ベンの言葉はいつも白々しく真実味に欠ける。果たして親子は分かり合える日がやってくるのか。

4月に公開された『ビューティフル・ボーイ』とどうしても比較をしてしまうタイミングで公開された本作。
「ビューティフル・ボーイ」は薬物依存から抜け出せない息子と父親の物語、本作は施設から抜け出し薬物を断ち過去を清算しようとする息子と母親の物語。
個人的な好みでいうと前者です。映画として色彩の美しさ、ジョンレノンの楽曲を挿入してくるセンス、そして薬物の怖さを怖いほど見せつけてくる現実性、父親スティーブ・カレルの名演、かなり苦しい後味を味わうことになりますが、映画として「ビューティフル・ボーイ」が好きでしたね。
一方で、本作がダメかというとそうではありません。十分にいい映画だったと思います。
特にジュリア・ロバーツの演技には圧倒されました。あまりにも過干渉すぎるだろうと感じさせられるところもありましたが、それが薬物の依存性の高さと怖さを表すものだろうし、自分の息子のせいで友人(の娘)を亡くしていることから母としての責任感の強さを感じさせられました。
ルーカス・ヘッジズもどんどん頭角を現してきていますね。「ある少年の告白」でも同性愛の青年という難しい役柄を演じ、本作でも薬物依存から脱却しながらも、どこか満たされない、イライラして物に当たるなど、それっぽい演技を見事に見せてくれました。監督が父のピーター・ヘッジズ。監督は息子に何を伝えたかったのでしょうか。自身の作品かつ薬物依存テーマに自分の息子を抜擢するのはなかなかな覚悟だったのではないかなと感じます。

ただ残念なのは継父であるニールの存在。母ホリーの再婚相手なのでしょうが、本作では疎外感を感じてしまいました。突然失踪した息子を探すにあたり、通報されたくないからとどうしようもなくなるまでは内緒にするホリー。もっと家族としての一体感が見たかった。映画としては、特に本作は「ビューティフル・ボーイ」と違いフィクションなので、そういうドラマ性を見せてほしかったというのが本心です。

あとは「名探偵ピカチュウ」にも出演していたキャスリン・ニュートン演じるアイヴィーはただただ天使。美しかった。母ホリーとの信頼関係の強固さ、兄に対する疑惑の目、そして何よりも母をGPSでガイドナビするまるでスパイ映画のような演出もたまらなかったです。
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