よしおスタンダード

ドント・ウォーリーのよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.0
「ジョーカー」の主人公アーサー・フレックは精神疾患を抱え、本作のジョン・キャラハンはアルコール依存症と、事故後は身体障害者になる。

両者とも心身にハンディを抱え、世間から見放されそうになり、社会的抑圧に苦しめられ、母親の幻影を追い求めていくところなどは、「ジョーカー」と共通点が多く、個人的にはジョーカーのためのリハーサルのようである。

アルコール依存症の役も「ザ・マスター」ですでに演じている。

いろんな他の映画で狂ったようにキレまくってるホアキンに慣れているせいか、本作では、ジョンが介護人のティムに雑に扱われたり、気持ち的にどん底に落ちた時の荒れ具合が、少し物足りないような気がしてしまう(笑)。

しかし、事故って入院してから、車いすに乗るまでは顔だけで演技することしかできず、そこは生半可な演技力では表現できないはずだが、さすがはホアキンである。絶望感と孤絶感が嫌でも伝わってきて辛い。

ヴァン・サント監督とホアキンのコンビは「誘う女(95)」以来実に久々だが、お互いキャリアを積んだ後なのでまた味わいが違う。

※ちなみに、ヴァン・サント監督は兄リヴァーも「マイ・プライベート・アイダホ(1991)」で起用しており、兄弟両方とも起用している唯一の監督である。

なおキャラハンの部屋に、「酔いどれ画家」として有名なロートレックの肖像画が飾ってあったりするのは監督のアイデアなのか、面白い。