たく

日日是好日のたくのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.8
冒頭で茶道の基本を教える樹木希林のシャキッとした演技にまず驚く。「万引き家族」のいかにも老人って感じはやっぱり演技力だったんだ!って、改めてすごいと思った。

生きるのに不器用な女性が茶道を通して己の人生を受け入れていく話で、茶道の理解しにくさを小さい頃に観たフェリーニの「道」になぞらえて、しかも海辺のシーンに重ねてくるとかジワっと来たね。

頭で考えるのではなく五感を働かせるっていう茶道の本質を、瑞々しい葉や雨などの映像美で表現してた。

典子と武田先生の関係が先生と師匠の関係とパラレルになってる感じで、典子もまたこの道を継いで行くんだろなーって思わせる。樹木希林で日本の伝統を伝える師匠と生徒っていう話が「あん」に似てるけど、変に社会問題を入れてこない本作の方が嫌味なく心に入ってきたね。

黒木華が二十歳の世間知らずな初々しさと三十路の落ち着いた感じを演じ分けてて上手かった。
でも邦画の常として老けメイクにリアリティが無くて、ラストだけはちょっと冷めたかな。
たく

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