ヒデ

日日是好日のヒデのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
4.0
25年通った茶道について綴った森下典子の伝記エッセイを映画化。終始、静かで、しんみりとした雰囲気。高揚感などを求めて観ると眠くなるので、茶道をするかの如く、心を落ち着かせて観たい。個人的には素晴らしい映画ではあるが心弾むというよりは、茶道の奥の深い世界感・総合芸術感を壊さずに生活に調和させ見事に表現した映画であり芸術作品のような位置づけで評価した。茶道の作法の意味、歴史的背景などの説明があると入り込みやすかったかなと思った。この作品は、観終わった後から真剣に思い返すといい映画だったなとジワジワくる。日々の生活の中で、週一回だけ身を置いた茶道。主人公の人生に茶道はなにをもたらしたか。何を気づかせたか。人生と茶道の共通点は。茶道の深みをじっくり堪能できる。厳かで、繊細、どこか一言では伝わりにくい日本文化のおくゆかしさを、ゆったりとした会話、上品で含みのある作法や間合い、視覚奪われる四季映像、聴覚に訴えかける音声、これら全てを調和し見事に再現。忘れかけている日々の素晴らしさや感謝を改めて感じさせてくれる作品である。また最後の映画出演となった樹木希林の遺作。本当の茶道の先生のような振る舞いと演技、自然体のように発せられる心に刺さるセリフには脱帽。偉大な女優を亡くしてしまったという感覚になる。また茶道の楽しさや観点についても学ぶ事ができる。茶道とは亭主が客人を招きもてなす茶会。亭主が用意した掛け軸、お茶碗、お菓子、お茶を丁寧に味わいながらおもてなしを受ける。掛け軸やお茶碗をじっくり見るシーンがあるが、コレクション披露と鑑賞も茶会の楽しみ方であるところが面白い。おもてなしを感謝・感嘆しながら受ける美学が詰まってます。使用してる茶器も一つ一つがお見事。昔の人がどのように茶会を楽しんだか思いを馳せることができる。
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