Yu

恋は雨上がりのようにのYuのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
3.8

45歳のバツイチ子持ちに恋をする17歳の女子高生という年の差28歳の物語は、今で言う“メンバー”要素一切無しで、不純度0%のとても爽やかな余韻を残す良作だった。

本人の意図していないところでの何気ない関わりが、知らない内に相手の心をあたためる。相手にとっては“素で優しい男”を知る瞬間だ。

優しさで包み込んだコーヒーフレッシュは、彼女の苦い人生をマイルドにさせていく。

ちなみに余談だが、
宮崎あおいが抜群に輝いていた「ただ、君を愛してる」では、車通りが多く、信号のない横断歩道を渡れずにいる彼女に“もうちょっと先に、押しボタン式の信号があるよ”と、通りがかりの男が彼女の複雑な人生に明るい道を示す。

このような何気ない素の優しさを感じ取り宝物とする女性は、一途でまっすぐな愛の持ち主でとても魅力的だ。

それは若さゆえの特権なのかもしれないが、今作ではその魅力を大切にしようとする大人が、幾度となく挫折を味わった45歳という形で表現されている。

夢を諦めきれない彼が親友から激励される言葉、“未練なんかじゃないそれは執着だ”。それは「ララランド」でも描かれた夢追い人の狂気。そして、お互いの夢に向かって啓発し合う男女。

物語の始めで、好きな気持ちに理由はいらないと主張する彼女に、この年齢差には理由が必要なんだと反論する男。
ラスト、空が晴れ上がった理由は明快だった。
Yu

Yu