全編に渡って大泉洋の魅力が全開で、とにかくそこに尽きた。困り顔からキメ顔まで違和感なくこなし、コメディ俳優ばりに笑いもしっかり取れるから凄い。小松菜奈もアンニュイな表情が心を閉ざしかけた女子高生役がぴったり。時折ハッとさせるビジュアルで魅せてくれるのも流石。
日本のラブコメでありがちな「禁断の恋！？」な痛々しいノリでなく、ドラマ性がちゃんとあったのも良かった。
特に前半は、あきらの感情や背景を観る側に探らせるような静かな展開と、17歳の女の子らしい店長との急な距離の詰め方の動きの緩急の巧さにグッと引きつけられた。
そのまま普通のラブコメとは一味も二味も違う物語を期待していてたが、どうしたものか後半は定番路線に引き戻されてしまった印象。バイト先の鼻につく先輩は、いかにも日本の恋愛漫画なキャラクターで興醒めしてしまった。縁もゆかりも無い他校の1年が図々しくあきらの陸上事情に干渉して焚きつけたりしてくるのも蛇足だった。それなら強調していた"かけがえのない時間"にまつわる部員同士のエピソードなんかがあってもよかった気がする。
あと一歩な印象もあるものの、総じて恋愛ドラマとして面白かったし、立場も年齢も大きく違う男女が影響しあっていく様は新鮮で楽しめる内容だった。
ちなみに個人的には猛烈な遺伝の大泉洋Jrと豪雨で飛ばされてフェードアウトする大泉洋、江ノ島をバックに涙を滲ませる小松菜奈がお気に入りでした。
