千年女優

ゲティ家の身代金の千年女優のレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0
卓越した慧眼で石油会社を成長させて1956年には世界一の大富豪に選ばれながら極度の倹約家で知られるジャン・ポール・ゲティ。1973年にローマで息子の離婚した妻が引き取った孫ジョン・ポール・ゲティ三世の誘拐事件が発生し、狂言だと取りつく島も見せない彼から金を引き出そうとする誘拐犯や家族の奔走を描いたサスペンス映画です。

善きにつけ悪しきにつけ人や社会の根底ある何かに独自のアプローチで斬り込むリドリー・スコットが実際の事件を基にジョン・ピアースンが執筆した同名小説を原作にした作品で、スキャンダルで降板したケヴィン・スペイシーの代役としてゲティを演じたクリストファー・プラマーがアカデミー賞主演男優賞の最年長ノミニーとなりました。

原作の原題である「Painfully Rich(痛いくらいに金持ち)」が文字通りに"Painfully"に表現された一作で、愛も命も含めた全ての価値がお金で表現できてしまう資本主義社会が生み出した身も蓋もない怪物に唖然とさせられます。何度となく「このクソじじいッ…」と怒りと不謹慎ながらも笑いを交えながら呟いてしまう熱中させられる一作です。
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