モウドクウサギ

ゲティ家の身代金のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.8
「ゲティる」そう、それはまさに「ケチる」の最上位の新語句…、とスベったところで、リドリー大先生によるお金の授業だ。
ゲティ爺さんは、なかなか良い事を言う。
「離婚してはじめて妻の本性を知る」
「モノは人と違って失望させない」
いやはや、大金を手にすると人格が歪むのか、もともとサイコパスだったから金持ちになれたのか…。いずれにせよ、我々には関係ないと思っていても、残念ながら現代の世にはゲティ爺さんのようなゲスはゴマンといるし、時には相対しなければならないこともある。ケチ爺さんと誘拐犯に板挟み、その人こそ、今作のお母さんだ。さらわれた孫も冒頭に独白する「我々は普通の人間じゃない。宇宙人だ」というセリフに、奇しくも同リドリーのエイリアンも彷彿とさせる。
全体的に暗いトーン、逆光でよく見えなかったり、白昼なのになぜか重々しかったり、イヤな感じが延々と続く、まぎれもない鬼リドリー作だ。ケヴィン・スペイシーのセクハラ問題(少年への強制ワイセツ‼︎)により、クリストファー・プラマーを代役にしたり、男女の出演料格差問題でマーク・ウォールバーグが反セクハラ基金に寄付したり、呪いに塗れた作品という点でも見逃したくない。