スキピオ

ゲティ家の身代金のスキピオのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.5

大富豪のゲティがなぜ孫の誘拐の身代金を支払わないのか?実際の誘拐事件の顛末を知らずに観たので緊張感を持って楽しめた。

彼のお金に対する庶民にはもはや笑ってしまうような特異な哲学や家族観が一つのキーで前半これでもかとそれを見せつけられる。そして彼の最初の支払わない理由も一応筋が通っていた。それなのにあの結末と話の畳み方には疑問が残る。(動かされたのは奥さんの行動?マークウォルバーグの言葉?そこまでこだわりが強いのになぜ?と)

これはあまり期待していなかったから意外だったけど「現代劇」でありながらリドリー・スコット監督らしい、「美麗なシーン」が何度かあったので彼の撮影が好きな人は必見。また、土壇場のキャスト交代劇のあったクリストファー・プラマーの演技と”絵力”は流石だった。ただ期待していた老境を迎えている「彼が撮る必然」というのは何だったんだろう、一定の財を成した金持ちゆえの苦悩を皆と共有したかったんだろうか。