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工作 黒金星と呼ばれた男のtonahikoのネタバレレビュー・内容・結末

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

文句なしに最高です。
男と男の闘い、相克。

得体の知れない国家、北朝鮮。そして韓国でさえ、報道の影響も手伝って、時に自分達の考え方とは相容れないものがある。

そういう国家のいわゆる「コア」に極限まで近い人達の描写を通じて、彼らの価値観、考え、葛藤の一端を窺い知ることができた。

スパイものって「胸糞展開」になりがちだけど、本作品は、パンチラインの一つである「浩然の気」に則った行動をしていたかによって迎える結末が異なるということ。

日本風に言えば、勧善懲悪に近いのかもしれないが、わかりやすい悪は存在しない。

パクもリ課長もギリギリのラインで自国の利益を最優先に権力にも阿りながら、時に手も汚しながら、関わり合ってきた。2人を取り巻く複雑かつ重厚な人間関係を描き切っており、最後に通じ合うシーンは感動の一言…エンタメとしてよくできてる。

対照的に私腹を肥やそうとした「安全担当」のチェ課長が部下と強制労働?に従事させられていたシーンも印象深かった。

最後に、金正日を演じた俳優さんは難しい役をよく演じきったと思う。かの独裁者が狂気に満ちていた印象は変わらないが、一種のカリスマ性とある種の合理性を持ったリーダーシップがあったからこそ、貧困や経済の問題を抱えながら、死に体でも国家を維持し続けられているのだろう。
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