ダイセロス森本

Love,サイモン 17歳の告白のダイセロス森本のレビュー・感想・評価

Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)
4.7
まだ、こんなもんかって、ちょっと思ってしまった

予期せぬカミングアウトのタイミングで、友情関係がもつれていって、彼自身もわからなくなったあの瞬間、彼は誰よりも生きにくかった。
父がそれを知った時、父は今までのジョークを謝った。
でもなぜか、それがちょっと異常に見えた。まだ「腫物」扱いされていると思ってしまった。
彼は言った。「I'm gay. but, I'm still me」これを聞いて、私はしぬほど苦しんだ。彼は同性愛者であることが、家族にも問題をもたらすだろうと、自分以外の人が自分を腫物扱いするだろうと思いながら打ち明け、唐突に繋げた言葉がこれだった。
どれだけ苦しめられていたのか、ただの同性愛者だっていうことだけで、計り知れない苦しみを味わっていたと、この言葉ですごく感じた。
こう言わないと、きっと違う扱いをされる。こう言わざるを得ない瞬間を作ったあの空間。最低だと思った。
たかが恋愛対象が同性なだけで、どうしてこんなにつまらない思いをしなければならないんだろうって、すごい泣いた。
幼馴染が好意を寄せているのも、周りの仲間たちが異性として見つめ合っているのを知っていて、それで打ち明けられなかった。
苦しすぎる。

最後彼を見つけた時、みんなは祝福していた。この苦しい道をたどった末に実った恋が、「普通じゃない」ことをさしているような気がして、嫌だった。

もちろん、これが普通に放映されて、普通の、青春映画の一環になっていることに対して、私はアメリカが理解を示していることを感じ取った。でもこの映画では、最初に打ち明けた黒人の女の子以外、誰も正しい反応をしなかったことに傷ついた。
まだ難しいんだなと。でも、なんだろう、もうゲイを差別したり、笑ったり、ジョークにしたりする時代は終わったよなと感じる。

相手を理解するにはとても良い映画だとは思ったが、これをノーマルな恋愛映画として見るには、まだまだ立ちはだかる壁があるように感じた。