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アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌のKUBOのレビュー・感想・評価

3.7
2001年にヒットした「アイ・キャン・オンリー・イマジン」という曲を歌ったバンド「マーシーミー」のヴォーカル、バート・ミラードの半生を描く音楽・宗教映画。

幼い頃から父親のDVに怯えて育ったバート。父の暴力に耐えきれず母は家を出て行ってしまい、父と2人息が詰まるような生活を送っていた。

高校時代、練習中の事故でアメフトを続けられなくなったバートは、車椅子でも参加できる活動としてグリークラブに入るが、そこでそれまで思ってもみなかった才能が認められ、歌の世界へと踏み出していく。

一見無骨な元アメフト選手が舞台で素晴らしい歌声を披露し一躍脚光を浴びる様は、オーディション番組のそれのようで、見ている者も鳥肌が立つような感動がある。

バートは高校卒業後、家を飛び出し「マーシーミー」というバンドで活動を始める。インディーズとしてはそれなりに人気も出て、ツアーにも客は入っていたが、レコード会社のスカウトからは「メジャーになるには何かが足らない」と言われてしまう。

そんな折、バートの父親が病に倒れる。バートは久しく帰っていなかった実家に戻り、トラウマが残る父と向き合うのだが…

まず、主演のJ・マイケル・フィンリーの歌声が素晴らしい。私はオリジナルのマーシーミーの「アイ・キャン・オンリー・イマジン」を聞いたことがなかったので、先にJ・マイケル・フィンリーの歌を聴いたのだが、オリジナルより上手いんじゃないかな? 

また、表題にもなっている「アイ・キャン・オンリー・イマジン」。2001年の曲ということだが、聞いたことがないと思ったら「クリスチャンソング」というやはり特殊なチャート。ゴスペルじゃないけど、ベースはキリスト教に根ざした歌というジャンルだそうな。こちらもいい曲でした。ラストのコンサートでのステージは胸を打つなぁ。

歌手としての成功物語と、父を許し、わかり合うまでの物語が、この「アイ・キャン・オンリー・イマジン」という曲が出来るまでと重なる感動の音楽映画。



*ただし、解決の術(すべ)が「神が許したもうた」ことに起因するキリスト教映画でもあるので、そこが説教くさく鼻につく人には鼻につく。

*エンドロールの主題歌「アイ・キャン・オンリー・イマジン」が日本語で歌われるのは興醒め。余韻が台無しになった。
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