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パージ:エクスペリメントのJIZEのレビュー・感想・評価

パージ:エクスペリメント(2018年製作の映画)
3.2
賛:パージ制度のオリジン。ジェームズ・デモナコ脚本でジェイソン・プラム製作のシリーズの真価を問う規定コンビはそのままに、新たなパージの全貌が描かれる。建物の中での肉弾戦やストリートで繰り広げられる銃撃戦などシチュエーションは定めずほぼゲリラ的に腐敗制度の起源が幕を開ける。主要キャラ内でデンジャーパーソンとおぼしき人間や武力で制圧しようとする集団などそれぞれの思惑が入り混じりパージの世界観が脳内に全速で駆け巡る。終盤の古めかしいアパート内を舞台にとる凹凸ある籠城戦も照明を頼りに緊迫感のある攻防であろう。

否:端的に前3作を最初から観てる者からすれば、複雑さや人間関係の紆余曲折がほぼなく薄っぺらく思えてしまった。また物語のゴールラインが微妙に散漫とした印象。もっと云えば予告編の隔離されたようなイメージとは乖離してたのが残念だった。人物描写の描き込みもあまり印象に残らず生き延びるか死ぬか、そこの目線でしか興味が持続しなかった。シリーズを観てる者にはながら見で楽しめるような平均値ギリギリの普通の一品に仕上がっている。

やはりシリーズのオリジンにしては凝った感じがなく今までの二重再生に過ぎない代物へ昇華されてしまったのではないか。舞台がいろいろ変わる理由もあり、その場に留まって困難を脱出するカタルシスが弱い点や首謀者的な敵の存在が不在しているのもそこに附随する。アマプラで配信中のドラマ版パージもそうだが、シナリオ次第でこのシリーズは本当にダメにもなるし傑作にもなる題材なのかも。ホークが演じた第一弾の『パージ(2013年)』に匹敵する完成度を次作の第五弾ではぜひ期待したい。
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