ねんどおにいさん

プーと大人になった僕のねんどおにいさんのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.0
ジャップ共、刮目しろ!これがイギリ…「アメリカ」の働き方改革だ!!


知らない人はいない"ウォルト・ディズニーアニメーションスタジオ"作品(この辺は色々あるので後述)「くまのプーさん」のその後、クリストファー・ロビンを主役に、子供の頃の純粋な気持ちや夢を忘れて仕事に忙殺される大人になった主人公が、疎遠になっていた当時の友達と触れ合う中で昔の純粋な気持ちを取り戻していく心温まるファンタジー。


主演のユアン・マクレガーもこういう「疲れ切った大人」を演じる年齢になったんだなぁとしみじみ感じる。
家族を養う為、生活の為に身を粉にして働いて金銭を稼ぐ大人のつらい現実が描かれる。
プー、仲間たちとの間にある絶対的な「大人と子供」、「理想と現実」の壁にイラつきを覚えるクリストファーにえげつないくらい感情移入します。

純粋な気持ちに触れ考え方に変化が見えるクリストファーに合わせるかのように「確かに俺も何もしたくないな…」と心が絆されていくのが巧みだなぁと。


「何もしないをする。何もしないは最高の何かに繋がる」
この作品の至言ではあるが、「何もしないをするために全力で何かをする事の大切さ」をしっかりと描いており心地よく心に刺さります。

キャラクターの描き方もアニメーションそのまんまでフワッフワでちょっと小汚い質感も最高に可愛くて癒されます。

作品のテーマが綺麗にアメリカらしい労働改革のラストに繋がる脚本もお見事。
素晴らしい「ディズニー作品」でした。


というのも、「くまのプー」自体はAAミルン氏が書いたイギリスの児童書でして、ディズニー作品のプーは別物だと原作者の親族やらファンから批判される事も多いデリケートな作品なのです。
その批判の主な内容は「プーたちの造形がキャラクター的過ぎる」だったり「ゆったりした空気が流れる原作に比べてアニメーションははしゃぎすぎ」みたいな感じ。
確かに今作でもプーは無邪気に歩き回って家をめちゃくちゃにするしティガーはハシャいでトラブルを巻き起こすわで相当姦しいです。

ラストのオチもアメリカ人的な働き方改革だと思ったけど、鑑賞後に考えてみると、当時労働環境が今より悪かったイギリス人の「こうなったら良いな」という願望が現れてると思えばこのラストはもしかしてどちらとも取れるリベラルなオチとして作風にマッチしているのでは??