MURANO

ある少年の告白のMURANOのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.6
牧師の父親によって同性愛者の矯正施設に入れられてしまった少年を描く映画で、実話を基にした問いかけの一本です。

この映画、同性愛者の少年の描写という点ではやや足りない印象を持ちました。

男性に興味を持つきっかけの描写が、逆に男性に恐怖心を持ってしまうんじゃないの?という疑問が残るもので。

それでも惹かれてしまう複雑な想いが胸中にあったはずだが、そこはあまり描かれないんですよね。

『ブロークバック・マウンテン』や『君の名前で僕を呼んで』のような、そこの気持ちの移ろいが自然かつ不可避だと感じさせる映画を知ってる分、この映画だと曖昧に映ってしまいました。

ただ、牧師としてキリスト教を信仰し、同性愛を神に反すると捉えてきた父親の葛藤と息子との関係性を描く意味では、良い映画だったと感じました。

子供は自分の思い通りには育たない。それを本当は受け入れなきゃいけないのに、信仰心の強さがそれを邪魔してしまう。

このあたりの、親としてジレンマの克服の話こそが主題に思えました。

ゆえに、父親にラッセル・クロウ、母親にニコール・キッドマンという、親の方に豪華すぎる配役をしているわけですよね。

ラッセル・クロウ、前半は随分体格が大きくなったな(笑)とつい外見に目が行ってしまいましたが、終盤になると彼なりの苦しみが見えて、やはり演技派だなと感じさせてくれました。

あと、矯正施設の指導官を監督であるジョエル・エドガートン本人が演じてますが、エンドロールに出る一文が「え!?」っと思わせて、意味深でした。
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