チッコーネ

ある少年の告白のチッコーネのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.5
実話ベースの本作で最も恐ろしいのは「同性愛矯正施設を、同性愛者自身が主宰していた」という点であろう。
監督自身がその難役に挑んでいるが、内なる自己/同族嫌悪を最悪のかたちで発揮した人物が近年のアメリカに存在し、さらに現在はパートナーと幸せに暮らしているというだけでも、かなりの衝撃…、なんとはた迷惑な奴!

父に贖罪を求める場面をきっちりと挿入した脚本は評価すべきで「新しい家族のかたちは自立と闘争なしに得られない」という現実が、改めて浮き彫りに。
需要があればこそ、いまも矯正施設が数多く存在するのであり、戦いの構図を突き付けられた印象だ。

グザヴィエ・ドランのキャラクターはかなり個性的だったのに、全体ではスポイルされている印象で、しかも尻すぼみ。果たして彼が演るべきだったのか、疑問に思ってしまった。