いずみたつや

ある少年の告白のいずみたつやのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.7
精神病院もの、刑務所ものに近い感覚の作品でした。
生まれ持った性質を否定し、「正しい」人間に洗脳していく様は本当に酷いもので、心底怒りがわきました。

変わったことを演じることで自分を保つトロイ・シヴァン、顔の傷が増えていくドランなど脇役も惹きつけるものがあり、説明されないだけにその背景を想像して胸が痛みます。

いわゆる軍隊式の叱責(ハートマン軍曹ほど暴力的ではないにしろ、やってることは同じ)で、「患者」の心を折るスタッフを演じたレッチリのフリーもハマり役。

また、ラッセル・クロウが演じた牧師の父のキャラクターが印象的でした。息子を愛しているけれど、自分がこれまで信じてきたものを否定することはできず、その間で引き裂かれていく。その様は、人は簡単に変わることができないという厳しい現実を、非常に生々しい痛みと共に表していました。