ゆめたろう

名探偵コナン ゼロの執行人のゆめたろうのレビュー・感想・評価

1.0
アニメシリーズも劇場版も二十年近く観ていなかったが、近年のコナンはこんなにも右寄りに傾いていたのかと驚いた。

公安警察が捜査継続のために一般市民を不当逮捕する人権軽視や、証拠の捏造、盗聴といった違法行為の数々を公務執行上やむを得ないこととして無批判に描く。

公権力への警戒のなさは、近年某監督が携わる一連の特撮映画のリブート実写でも描かれており疑問視していたところだが、もしかすると自身が未鑑賞なだけで体制側からマウントプレイする作品がウケる風潮にあるのだろうか。

ラストの「国家が恋人」発言にナショナリズムを爆発させた安室ですが、彼をヒーロー扱いするのはとても危険だし、アイドル的に消費してもいけない。なぜなら彼は常に権力側からの発言と行動が前提にあるからである。

今まで心震わせた映画の数々は、どれも個人の自由を守るために戦う人々の物語だ。
公権力が掲げる正義を無頓着に礼賛するのはプロパガンダ映画ほかならないし、そこにヒーローは存在しない。

素性の知れないコナンくんを寝食不自由することなく迎えいれた小五郎をでっちあげ逮捕した公安警察に、コナンくんはなあなあで共闘することなく「f○ck」と中指を突き立てて別の道を歩んで欲しかった。