ひろぽん

名探偵コナン ゼロの執行人のひろぽんのレビュー・感想・評価

3.5
劇場版『名探偵コナン』22作目

東京サミットの開催地となる東京湾の新施設、エッジ・オブ・オーシャンで突如、大規模爆破事件が発生する。事件の影には全国の公安警察を統括する警察庁警備局警備企画課、通称「ゼロ」と呼ばれるセクションに所属する安室透の存在があった。コナンは秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を覚えるが、現場の証拠品に残された指紋が小五郎と一致し逮捕されるなど、事件はさらに混迷化していく。毛利小五郎の無実を証明し、テロ犯を捕まえる事ができるのかという物語。


IoTテロによる大規模な東京サミットの会場爆発テロ事件の犯人をコナンと安室率いる公安が追っていくお話。

IoTテロで調理器具やスマホ、カーナビ等のインターネットに接続されている電子機器の発火、超高度や空からの盗撮等の法律に引っかかりそうなドローンの扱い、IPアドレスの不正アクセス等、様々な現代的問題の話題が盛りだくさん。


安室はどんな汚い手を使ったとしても手段を選ばず日本という国を守ろうとする。愛国心が強いが故の正義感が怖い。普段優しいからこそ、彼の怖い一面が際立っていた。
3つの顔をあわせもつ彼の腹の底は読めない。

今回の安室は敵なのか、味方なのか、どちらか分からないという展開が面白くて楽しめる。


警察、検察、公安といった組織が複雑に絡み合っているから位置関係を把握していないといまいちピンとこない構成になっている。劇中で説明してくれていて助かった。

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□警察庁
日本警察の頂点。
警察制度の企画立案など事務、運営、調整などを行う。

□警視庁
東京都の警察本部のこと。
「東京都警察」ではなく「警視庁」なのは「日本の首都としての東京を警備する警察機関」などの役目があるため。

□検察庁
検察官の行なう事務を統括するところ。
被疑者を起訴するか否かを決定する。検察官だけが被疑者を起訴できる。

□刑事警察
犯罪の捜査を担う組織・部門。

□公安警察
「公共の安全と秩序」を維持することを目的とする警察。テロやスパイ活動等の反社会活動を対象とした捜査や取り締まりする人たち。



安室は1番上の警察庁の所属であり、風見は警視庁の所属の公安系。そのため、風見よりも安室の方がより強い権限を持っている。

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“僕の恋人は…この国さ”

この一言のために作られたような映画。

場所関係なく車で走行する安室のドラテクが凄まじかった。


福山雅治の主題歌『零 -ZERO-』の曲名がタイトルとマッチしていたり、歌詞も作品に関係する正義や愛のことを歌っているのが良かった。曲も最高。

今作はコナン映画の中でも断トツで難解作品だと思う。登場するそれぞれの組織の関係性や、どのくらいの権力を保持しているのかを把握していないと分かりにくいと思う。完全に安室ファン向けで子ども向けの作品にはなっていない。

安室の権限の強さが遺憾無く発揮された作品。意外にも安室がコナンに一目置いてるんだなと。
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