鰹よろし

ディープ・インパクト2018の鰹よろしのレビュー・感想・評価

ディープ・インパクト2018(2017年製作の映画)
2.9
 事故や事件現場で取材に当たるレポーターの父親。年中現場を駆け回っているが故か、職場が離れているが故か、家族を蔑ろにしてしまいがちの様。実は有耶無耶に別居中で、子どもに内緒で離婚の話が進んでいるが、あらゆるコネクションを持っている。

 大学へ進学しないという娘の進路の件、科学(地学?)オタクで終始自分の世界で別次元にいる息子、夫が家におらず独り頭を抱えている様子の母親。また子どもたちが親の手を離れつつある様で、彼女は独りの時間を持て余し始めており、今回の引っ越し(?)を機に自身は地元に残り救急の現場へ復帰したいと憂いている。

 父親、母親、娘、息子の4人家族とその親戚とが、各々の目的地へと向け離散したところから始まる火山からの逃避行...

 「爆発現場(取材現場)」...「TV局の放送スタジオ」...「各家庭(視聴者)」...、どこか別個に成立している、どこか余所の事の様に感じてしまいがちなそれぞれの世界。

 この自分は部外者であるとする勝手な意識を、火山性(?)地震という同一事象によって崩壊させる様は見事で。またレポーターの父親の往来によってそれを補完するとともに、精神的且つ物理的に離れつつある家族の現状の暗示でもあるとするのがまたうまい。

 そして上記と同様且つ同等の、また避難行動において共通する描写を、離れ離れになった者たちがそれぞれの場所でそれぞれに見舞われる惨状の最中に散りばめることで、崩壊の序曲として描かれる数々の事象を、同一の事象(火山)による被害であり、同一の世界の出来事であり、それはつまり確かに存在する家族の繋がりを示すモノであると機能させてしまうのが何よりも素晴らしかった。

 ただ...、主人公補正は除外して、日常の上下左右ある世界における繋がりと隔たり、非日常における実に平等な現象に見舞われる中での繋がりと隔たりを、TVにおける報道と、携帯電話及びカメラ、SNSを通して事細かに描いているのだが、それを無下にしかねないラストの過剰な演出(自己犠牲)には首をかしげてしまった。わざわざ描く必要無かったと思うけど・・・

 娘がサラダを準備し取り分け、メインディッシュを父親が運ぶ。そして母親が会話の中心にいる様は、家族の関係性の変化を描いている様でいて、その実とするところは突如発生した自然災害により引き裂かれた家族の深い傷跡であったりするのかな?

 いや単純なハッピーエンドだよな・・・??

 生きてるんだよね???


「ボルケーノ」(1997)...「ダンテズ・ピーク」(1997)...「クローバーフィールド HAKAISHA」(2008)...「GODZILLA ゴジラ」(2014)...
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