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ロバート・ライシュ: 資本主義の救済のmimuneのレビュー・感想・評価

3.6
ライシュの本(saving capitalismではなくbeyond outrage)を買ったので、手始めにこちらを観てみた。

内容としては普段見るニュースとかネットの記事とかから分かる感じのことが多くて、この作品から新しく得た知識はあんまりなかったかも。多分見やすくするため分かりやすさを優先して撮ったのかな。

それでも、マクドナルドでフルタイムで働く女の人が生活が苦しく、時給を3ドル上げてほしいからと人を集めて運動したらそれがちゃんと届いて、他の州にも良い影響を及ぼすだろうと言われたシーンなどは、今の日本のsave our space署名運動を思い出して、改めて声を上げることは無駄にならないと勇気を貰えた。

ショックだったのは、ある2つのアメリカの大学が協力して行った調査。
1982年〜2002年までの間で一般市民が持つ政策への影響力を調査したんやけど、ある政策について企業が賛成すると可決される確率は60%、企業が反対すると可決はほぼ0%。
ところが、一般市民が賛成しようと反対しようと政策が可決されるのは30%の確率。つまり、【一般市民が政策において持つ影響力はほぼゼロ】だということ。
これのどこが民主政治???馬鹿馬鹿しいにも程がある。日本も絶対同じ状態やん。

あと、もうひと場面印象に残ったところ。
トランプが大統領に選ばれる前の選挙活動のとき、農場で働いてる人達がそれぞれの支持者について議論するシーンで、みんな大体トランプを批判してるのに1人男の人が「おれはもう政治家なんていらない、トランプのようなビジネスマンに国をきちんと経営してほしい。共和党とか民主党とか、党なんてどうでもいい。」と言ったこと。
普通に考えればトランプなんてあり得ないけど、もう散々政治に騙され続けたと感じる人達にとって、トランプは政治家ではなく立派な実績のある経営者として、新しい希望のように見えたのかもしれない。
tea partyとocupy wall streetの映像を見てると、なんとなく少し分かる気がした。

あとは、単純にロバートライシュという人がどんな人かが分かってよかった。優しい目をしたかわいい小さなおじさんだった。私もいつか空港で会ったら話しかけてみたい。


最後に、ライシュが一番最後に言う言葉をメモしておく。
市民運動家になるのに必要なことは3つ。
忍耐と粘り強さ、反対意見を持つ人達と(言い負かされてもいいから)沢山対話すること、あとは、楽しむこと。
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