かたゆき

ハングマンのかたゆきのレビュー・感想・評価

ハングマン(2017年製作の映画)
2.5
ある日、街の学校の敷地内で凄惨な猟奇殺人事件が発生。
被害者は庭の大きな木に首を吊るされ、胸にはナイフでえぐられたとみられる「O」の文字。
さらに遺体の近くには、絞首刑の絵と空白の文字列を示す白線が。
そう、犯人は子供の定番ゲーム〝ハングマン〟をなぞり、警察へと挑戦状を叩きつけてきたのだ――。
謎の犯人から警察のバッジ番号で名指しされた殺人課のルイニー刑事は、同じく名指しされたかつての相棒で今は定年退職したアーチャー元刑事とともに捜査に乗り出す。
そこに彼らを取材する犯罪ジャーナリストのクリスティも加わり、懸命に捜査を続けるルイニーたち。
だが、そんな彼らを嘲笑うかのように第二、第三の首吊り死体が発見される……。
古典的な文字当てゲームをなぞり、次々と犯行を繰り返す猟奇殺人犯〝ハングマン〟と刑事たちとの息詰まるような攻防を描いたサイコ・サスペンス。

名優アル・パチーノが主演を務めているということで今回鑑賞。
冒頭から、この分野の名作『セブン』を髣髴とさせるような(てか、そのまんまとも言えますが笑)重厚でおどろおどろしい世界観に摑みはばっちりでした。
欧米では定番の文字当てゲーム〝ハングマン〟に見立てた首吊り殺人も大変グロテスクで、アル・パチーノの渋い魅力とも相俟って、「お、これはなかなか面白くなりそうじゃん!」と僕の期待は高まるばかり。

でも…、そんな期待も虚しく中盤からものの見事に失速しちゃいましたね、これ。
まさに、「ザ・竜頭蛇尾」。
そもそもこんな大事件なのに、捜査してるのはほぼこの刑事二人のみで、しかも片方は定年でリタイアした今や普通の一般人ってのがおかし過ぎます。
しかも取材してるだけの女性記者がばんばん犯行現場に付いてくるというのもあり得ません。
対する犯人も何故にこんな面倒臭い方法で人を殺すのかも説得力に欠け、しかもわざわざ毎日11時ちょうどに首を吊るすという謎の自分ルール。
肝心の犯人の正体なんて、「え、こいつ誰やねん」と思わず突っ込んじゃうほど、唐突感が半端ありません。
文字当てゲームの回答も、「ここまで引っ張っといてそれかよ!!」と言うもので全く腑に落ちない。
「犯行はまだまだ続く」と言わんばかりの最後のオチに至っては、蛇足以外の何者でもありません。
あ、ここで訂正。
「竜頭蛇尾」じゃなくて「竜頭蛇尾蛇足」な映画でありました。
かたゆき

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