直木谷ヒトシ

(r)adius ラディウスの直木谷ヒトシのレビュー・感想・評価

(r)adius ラディウス(2017年製作の映画)
3.4
「一定距離内の生物を必ず,それも例外も予兆もなく殺す」というシンプルにして最悪の能力を持ってしまった男とそれを打ち消せる女性の逃避行、と一言で片付ければそうなんだけどそれで終いにするにはどこか惜しい作品。リアムの能力範囲内に入ると「目が白濁しながら即死する」という絵面的には地味にも見える能力でここまでの絵面をやったのは評価されていいかも。

こういうプロットだと治療の道筋を探したり、そもそもなぜこうなったのかを調べたりするんだけど男女とも記憶喪失で所々効率よく行かないし途中で警官が巻き込まれ死したことが引き金になり警察による包囲網も狭まっていくので「なんとかして逃げながらまず思い出そうとする」という効率の悪い選択肢しかなくなっていく そして「事情を何ら知らない(しリアムからしても説明したくてもできない)メディア」の報道を真に受けた者たちも当然犠牲になるという最悪の循環

ほろ苦いしなかなか胃に来るものがあるサスペンスであり、総じて救いの見当たらない一本。理由をぼかしたのが良かったか悪かったか、私としてはどっちとも言いかねるので見て確かめてほしい。