千と千尋の神隠し
初めてもらった花束がお別れの花束なんて悲しい。前にもらった一本の花。
石の祠。神様のお家。
怖がりだな千尋は。
食べ物屋。食欲。
ハク。ここに来てはいけない。
夢だ。消えろ。
ハク。この世界のものを食べないと其方は消えてしまう。
行かないで。1人になりたくない。
辛くても耐えて機会を待つんだよ。
千尋の味方だよ。其方を小さい時から知っている。
カマ爺。手ぇ出すなら終いまでやれ。
はいとかお世話になりますとか言えないの?
靴と靴下を脱ぐ。
リンは人間じゃない?
湯婆婆。お前も元の世界には戻れないよ。
見るからにグズで甘ったれで泣き虫で頭の悪い小娘に仕事なんかあるもんかね。
つまらない誓い。働きたい者には仕事をやる。
靴を履いて外へ。
私よ!千よ!
人間だったことは忘れている。
名前を忘れると帰り道がわからなくなる。
仕事開始。人間っぽい頭身の女の子が増える。千がより向こうの世界に近づいている?
腐れ神の棘。自転車。廃棄物。
風呂の縁に立つ千のカットがいい。
川の主。仕事を認められる千。
カオナシとカエル。砂金に釣られて喰われる。
川の神のくれた物。これを食べれば人間に戻れる。一口齧って不味いと思ったのはこの世界の食べ物に慣れてしまったから?(夢オチ)
金に狂わされる湯屋で働く者たち。
何故か竜がハクとわかる。
砂金は欲しくない、いらない。
こんなとこにいる方がおかしくなるよ。
竜はみんな優しくて愚かだ。魔法の力を得ようと弟子になった。
落下シーン。にが団子。えんがちょ。銭婆の判子。魔女の契約書。
銭婆の所へ行ってハクを助ける決意。
40年前の使い残しの切符。近頃は戻りの電車がなくなった。
わからんか、愛だ。愛。
にが団子の残りは狂ったカオナシへ。
川を渡る。千尋の姿へ。必ず戻ってこいよ。
お前のこと鈍臭いって言ったけど、取り消すぞ。
電車の中、消え掛かった人影。消えかかるカオナシ。千尋はそのまま。降りる乗客。三途の川。
あの子は自分の親を捨てたんだ。
坊を取り戻す。千と家族を返す。交換条件。
質素な家に銭婆。
一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで。
魔法で作ったんじゃ、何もならないからね。編み物をする銭婆。
御守り。みんなで紡いだ糸。
大丈夫、あんたならやり遂げるよ。
千尋、いい名だね。自分の名を大事にね。
ハクと飛ぶ千尋。川、フラッシュバック。
みぎはやみこはくぬし。
さあ行きな、振り向かないで。
振り向かない。いつか会える。
銭婆にもらった御守りの紐が光る。思い出せなくても一度あったことは忘れない。
ジブリ再履修。
名前というものは意思決定することなく、他者から与えられるものだ。この物語では、千と千尋の二つの名前が与えられた女の子が自分の意思でそれを選び取る。
千と千尋の性格は正反対と言ってもいい。冒頭の車に揺られるシーンの気の抜けた表情、トンネルをくぐることを拒むシーンからは無気力で受動的な印象を受ける。対して千は「働かせて下さい!」と頑なに言い続け、カオナシを受け入れ、ハクを助けようとする。活発で自ら行動する女の子である。
空想の世界で生活を続けると、現実のことを忘れていくように、どちらをも手に入れることはできない。
ハクを救うために沼の奥へ向かう際に、千尋の格好に戻る。ここでは2つの世界が交差している。千尋でありながら、千の愛するハクを助けようとする。現実の社会では年老いた女性はみな「おばあちゃん」という名を与えられる。
お母さんにしがみつき、トンネルを抜け、振り返る千尋はもうハクのことは覚えていない。光る髪紐だけが千尋に残ったもの。
架空の、空想の世界にずっといることを選ばずに、現実世界に帰っていく。そこで得たものは忘れてしまっても、心や身体のどこかに残る。
空想の世界に残るカオナシはどうなるのだろう。宮崎駿はアニメーションの世界で生涯を終えようとしている。皆を現実世界に帰して。