無何有郷

千と千尋の神隠しの無何有郷のレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
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公開当時、観終わって映画館を出るときに「パパも豚になっちゃうの?」と泣いた愛らしい幼稚園児だった私も大人になり、理不尽に耐えながらそれなりに労働をしてきたので、当時はバケモノだと思っていた登場人物ーー湯婆婆カオナシ釜爺リン坊カエル、みんなこれまでの人生で出会った人を自然と思い浮かべてしまう。いるわぁこんな人たち。ただしハクを除いて。私のハクどこにいるの???
ハヤオは千尋のような少女のためにこの映画を作ったのかもしれないが、どんなに映画の中では美しい景色を観れても所詮ファンタジー、その気晴らしは一時のものに過ぎず、明日からはまた搾取されるための労働に戻るのだ。現実でそのトンネルの出口はどこにあるのだろう。

昔は坊(ネズミ)がなぜ肩に乗らず自分で歩きたがるのか分かるようで分からなかったけど、今見るとあれはイヤイヤ期の2〜3歳児の振る舞いそのもの。これからひとりで立って歩いて行くための、大切な期間。
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