ねきろむ

スパイダーマン:スパイダーバースのねきろむのレビュー・感想・評価

5.0
映画のようであり、コミックのようであり、アートのようでもある新しい作品。

スパイダーバースは2015年からスタートしたアメコミらしいです。

5人のスパイダーマンにもそれぞれ原作があり、同じピーターパーカーという名前のスパイダーマンがいたり違う名前のスパイダーマンがいたり、そもそも似通った概念の違うヒーローだったり。と様々。

多元宇宙の物語であるマーベル作品ならではの設定だと思います。

そして何より手書きとは思えない映像美。
コミック寄りのマーベル作品は珍しく無いものの、ここまでコミック要素を細かく入れてる作品は無いと思います。

全体の演出もそうですが。登場人物の肌やその背景の壁にフォーカスした際にはうっすらと細かい水玉のトーンが貼ってあるような描写があったり

言葉を発したりする一瞬のアクションにも漫画のようなエフェクトが口から発生していたり

とにかく映画でアニメだけど漫画の雰囲気を強く感じさせる要素が敷き詰められています。


ストーリーも大満足です。
最近の新しいスパイダーマンというとホームカミングですが、初道場にもかかわらず力を使いこなした状態でスタートします。

他の映像化されたスパイダーマンも同様です。

しかしスパイダーバースでは
マイルズという少年が突如望まぬ力を与えられ、世界の破滅に関わる重大な選択を迫られた結果逃げ出してしまいます。

これが普通です。
普通いきなり世界の命運が君の手にとか言われても戦えないのが普通です。

だから他のスパイダーマンより引き込まれるのかもしれません。

他の世界から現れた自分と同じ力を持ち、何度も危機を救ってきた彼らの様にはなれない。

殴る勇気もなければ、能力も満足に使いこなせない。そんな責任を負いたくない。



他の世界からきたスパイダーマンが世界を救ってくれるかもしれないが、彼らがいなくなったあと世界は誰が守るのだろう。

この世界のスパイダーマンは序盤で死んでしまっているので、マイルズの世界にはマイルズしかい。

わかっているけど動き出せない。
彼らのような個性も勇気もない。

でも選ばれてしまった以上は戦わなくてはいけない。

ヒーローは常に孤独だが。
今ここには同じ痛みを先に乗り越えた仲間がいる。

そんな彼らを見ながら、マイルズがスパイダーマンになるまでの物語です。

これまでのスパイダーマンにはなかった
本当の意味で新しいスパイダーマン誕生の作品です。

これは是非劇場のスクリーンと音声で鑑賞して欲しいです。

続編にも期待。
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