NuSuke

劇場版ポケットモンスター みんなの物語のNuSukeのレビュー・感想・評価

4.9
群像劇というポケモン映画初の試みは見事に成功していたなと思う。
この映画は副題の通り、まさにみんなの物語だった。
そんな新機軸に加えて従来のポケモン映画の"人とポケモンの絆"という要素もしっかりと組み込まれており、今作の群像劇のおかげでより良く描けていたと思った。

怪我によって好きな物への情熱が薄れていた少女。
その場その場で嘘をつき続けていた男。
思いは人一倍だが、人と接するのが苦手でかつ自分に自信がない青年。
過去の出来事がトラウマとなり、それが原因でポケモン達を遠ざけて暮らす老人。
人間達の勝手のせいで人間達への不信感を募らせるポケモン。
彼らの"過去"や"弱さ"を乗り越える時、側には必ずポケモン達がいる、信頼出来る人間達がいる。
だからこそ、彼らは自分達の"過去"や"弱さ"を乗り越える事が出来るのである。
それこそがポケモンパワー。
このポケモンパワーのシーンで何度も涙した。

イーブイが必死に聖火を咥えていたシーン、死んだブルーの霊が寄り添うシーン、ウソッキーがゴミ箱に捨てられていたモンスターボールを差し出すシーン、ゼラオラが人間達を助けたシーンと、人とポケモンの絆が素晴らしく描かれていた。

こんなに素晴らしい映画だったのだが、2点ほど残念に感じた部分があった。
1点目は登場するポケモンの99%が第1、第2世代のポケモンだった事。
前作から劇場版の世界観では、最新作のアローラ地方のポケモンまでいるというものだったのに、あまり生かせてなかったと思う。
2点目はポケモンハンターがあっさりし過ぎた事。
本作は未曾有の災害に人とポケモンが手を取り合い、自分達に出来る事をするというストーリーだから、仕方がないとは思うけど、もう一悶着起こしても良かったのかなと思う。
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