カーネル

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのカーネルのレビュー・感想・評価

3.5
公開当時に荻上チキ氏がお勧めしていたのを覚えていてずっとお気に入りに入れておりました。

今どきは、劇中に出てくるような無知で無自覚でデリカシーにかける教師や親は少ないだろうけど序盤のこのシーンは心が痛むものでした。
そんな大人とは違って、志乃ちゃんの歌う力を見抜きデュオを組む加代。そんな若い感性が本当に羨ましいです。
そこに無理矢理入ってくる菊池も、あのテンションに隠されたモノを考えると勇気のいることだろうにと思い、その成長ぶりが眩しくもありました。
クラスメートや文化祭のステージを見た人達にそんな思いは伝わったのかな。
それも含め、ラストは観る側に委ねられています。青春グラフィティにありがちな安っぽいエンディングじゃないところが評価すべき点だと思いました。

蒔田 彩珠は『透明なゆりかご』が鮮烈でしたし、朝ドラでの意思の強さが滲み出る芝居をみてもこれから益々注目です。
同じく『ライオンのおやつ』『初情事まであと1時間』と最近メキメキ出番が増えている萩原利久は、元いじめられっ子の痛々しい自己防衛的ハイテンションを振り切った演技で見せ、こちらに色々と考えさせてくれました。
主役の南沙良は全く知らなかったけど、こちらも鼻水もお構いなしの演技をしてくるのでグッと引き込まれました。

若手実力派が演じたこの映画は、変に説教くさくなく、かつ、我々見る側へ吃音症へのアプローチを提案してくれました。
感謝します。
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