志乃ちゃんは自分の名前が言えないの作品情報・感想・評価

志乃ちゃんは自分の名前が言えない2017年製作の映画)

上映日:2018年07月14日

製作国:

上映時間:110分

ジャンル:

あらすじ

高校1年生の大島志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。そんな時、ひょんなことから校舎裏で同級生の加代と出会い、一緒に過ごすようになる。 人と距離を置き卑屈になりがちな志乃だったが、加代からバンドを組まないかと誘われたことで少しずつ変わっていく。ふたりで過ごす夏休みが平穏に過ぎていくと思っていた志乃だったが、自分をからかった同級生の男子・菊地が強引に参加することになり…

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」に投稿された感想・評価

自尊の低い人たちの青春が、超豪速球で飛んで来続ける。
自認というド直球な結論もすがすがしい。
 自尊感情が低い人は世の中に多いと思う。どうしてそうなってしまったのかは、たぶん本人にもわからない。自尊感情を持つようにすすめる人はいる。そういう人は、一度きりの自分だけの人生なんだから大切にしないといけない、同じ意味で自分自身も大切にしないといけないという意味のことを言う。
 しかし世の中を見渡せば、幼くして殺されたり餓死したりする子供はたくさんいるし、人間以外の生物の多くは、生命そのものを蹂躙されている。自分の人生や自分自身を大切にしなければならない理由はどこにもない。それよりもこんな世の中に自分を生み出した親を恨む。
 このあたりまでは、たくさんの人が辿る道である。そこから先は人によって進む道が違ってくる。中には生まれてきたことを恨む気持ちが世の中全体に向かって、誰でもいいから殺したい、自分も死にたいと、自爆的なテロ行為に走る人もいる。しかしそれは本当にごく少数で、たいていの人は、日常生活の中に自分なりの小さな幸せを見つけて、つつましく生きていく。そのために必要なのは、低い自尊感情と現実に存在している自分との折り合いをつけることだ。実存的な問題である。

 本作品では、自尊感情の持てない3人が、互いの関係性の中で生きる喜びを見出そうとしていく。まさに青春模様で、覚束ないギターを弾き、テクニックなしの歌を歌う。吃りの人でも歌うときは吃らないのは昔から知られているが、志乃の歌は特にまっすぐな歌い方で、亡くなった加藤和彦を思い出してしまった。彼も心に闇を抱えたまま生きていた人で、遺書には「消えてしまいたい」と書かれていた。同じような思いを持つ志乃に彼の歌を歌わせる演出が心憎い。演じた南沙良は鼻水を垂らしながら泣く熱演でで、役によく入り込んでいた。
 蒔田彩珠はテレビドラマで見かけた不機嫌な少女から一歩脱して、期待と不安に揺れる思春期の乙女を見事に演じる。この人の落ち着いた演技がなければ志乃の役が成立しなかったと思う。
 世の中の価値観に迎合せずに人間の真実に迫ろうとする意欲的な作品で、日本の青春映画としては出色の出来栄えである。
いわゆる吃音の少女が高校生になって新たなスタートを切ろうとする・・・という話だが、障害を克服して頑張ろうとするお涙頂戴ではないし、周りのサポートが大事だよねという説教でもないので、安心してほしい。
吃音を持つ少女も他人の欠点を笑うことがある。他人の親切にはすがりたいが、厚かましさが疎ましい時もある。だって人間だもの。
普通に学園生活を楽しんでいる人でも、苦悩はあるし、弱点もある。それを互いに補うのがコミュニケーションなんだよね。志乃ちゃんが自分の名前を言えないのは、降って湧いた吃音のせいだけじゃない。
そういう青春映画のエッセンスを、露光気味の画面でストレートに切り取った。役者の演技も含め、二度とは撮れない奇跡的な瞬間の一本だと思う。
とても瑞々しくて、眩しくて、ビターな、素敵な青春映画だった。

原作未読。
感想を一言で言うなら、とにかく眩しかった。
こんなにキラキラした青春映画、久々に見た気がする。
監督の湯浅弘章さん、アイドルのMVを撮ったりしてるみたいなんですが、納得でした。
特に中盤のシーン、志乃と加代の2人で過ごす夏休みなんですが、もう…キラッキラ!です。
素敵なシーンでした…しかし物語はキラキラしたままでは終われないのですが。

役者陣、素晴らしかった。役の求めるキャストがビシッとハマってましたね。
志乃、ぐちゃぐちゃに泣く演技、見事でした。
そしてまた歌が良い…決してビックリする程上手いわけではない。だが、これ以外ない、というぐらい丁度良いんですよ。「あぁ、良いなぁ…」となる、そんな歌声でした。
加代も勿論いい表情をしていて良かったんですが、もう1人、少女2人の映画と見せかけて、実は菊地という少年が絶妙に良い。
いやこの感じは言葉じゃ伝えられないですが…絶妙です。絶妙としか言いようがない。

終盤、あるきっかけで物語が動き出すわけですが、このときの志乃の心情が掴みきれなかった。
そうですね…「なんでそこまで?」と、思ってしまいましたね。
変わったと思った自分が全然変わってなかったことが情けなかった…?
それとも、もっと百合的な捉え方してもいい…?
いや、"依存"と考えるべき…?
…などなど、ぐるぐる考えましたが、スッとハマらなかったなと。
ここでの動きが、ラストのオチへ繋がるわけなんですが、上手くノりきれなかった、解釈出来なかったかな、というのが正直な所。
それでも、その後回復へ向かってくれればまだ気持ちよく終われたと思うんですが、これが違うんですよね…ラストの姿は、ビターでした。
個人的な好みで言えば、もっと気持ち良い終わり方でも良かったのでは?と思いましたね。

と、最後は捉えきれなかった所もあったんですが、にも関わらず、全体の印象としては、爽やかでキラキラして素敵な作品だったなぁ…という気持ちになるので、映画全体の空気の作り方が上手かったんだろうなと思います。
湯浅弘章監督、今後も注目したい。
老人の歩き方でおなじみの渡辺哲
世界の終わり
唐突な蒼波純 誰
とにかく、観て欲しいです。
初めに「目覚まし時計を止めて起きる」だけで感動し、「自己紹介」のシーンではもう(胸が痛くて)ドチャドチャ泣けますから。
『桐島、部活やめるってよ』のように「半径1メートル以内」を描いた、痛くて苦しい青春映画の大傑作です。

2018年の4大青春映画&マンガの実写映画化作品のド大傑作は『ちはやふる結び』『ミスミソウ』『恋は雨上がりのように』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』に決定。
キャストとスタッフが最高のパフォーマンスを発揮すれば、ここまでの作品が出来るんですね。

「観終わった後に誰かと話したくなる度」もMAX値。
映画でしかできない「時間」の演出も素晴らしい。
音楽映画としての魅力も満点。
原作の物語を真摯に描いたスタッフの皆さんに感謝。本当に、ありがとうございます。

クライマックスとラストは賛否両論かもしれない…ですが、自分は真摯に物語に向き合っていると、大肯定しています。上映館数が少ないですが、お近くで上映されていたら、ぜひ。
utyq2tl

utyq2tlの感想・評価

4.0
もう一度見たい ☆☆☆☆☆ 
   期待以上 ★★★★ 
   期待通り ☆☆☆ 
   期待外れ ☆☆ 
   時間返せ ☆ 

       Dynamic
      ・・・ | ・・・
      ・・・ | ・・・
      ・・・ | ・・・
Realistic  ー ー ー+ー ー ー  Fantastic
      ・・・ | ・・・
      ・★・ | ・・・
      ・・・ | ・・・
        Static

日時 :2018.07.21
場所 :新宿武蔵野館
客入 :☆☆☆★☆
HAL9000

HAL9000の感想・評価

3.1
少しネタバレ気味に書きます。

途中まではとても良かったのだけれど、最後の方がなぁ。
もうすこし都合のいい話にしても良かったのでは無いかと。
スクリーンの中でまで現実見たくないというか。

主演二人はとても良かった。演技面では志乃ちゃん役の子の泣く演技が素晴らしい。

ただ、やはり途中で男の子が絡み出してからの引っ掻き回されてそのまま終わった感。
大人は友情でもなんでもそんな上手く行くわけでもないし、ああなるのはわかってるから、そこまで描かなくてもいいです。
一歩手前でハッピーっぽく終わって、その後は観客に投げてください。

あと、中盤にやたらと逆光入れてハレーション起こさせてたのがうっとおしかったです。

現実見たくない関係だと、大人達の対応、特に担任の先生の生徒さばきの下手さが…。新人の先生ですって説明はあったけど、それなら先生も一緒にちゃんと成長したところを描いて欲しかったなぁ。

もうすこしハッピーな作品かと思ってたけど、現実は辛いねって話でした。
ふぅ。
がんばろ。
原作未読。
今作は「吃音」について考えさせられる作品だと思います。
「吃音」の苦しみが伝わると思います。

志乃が同級生の加代と出会いバンドを組みいい感じになっていくのかと思ったら、志乃のことをバカにしていた同級生の男子・菊池が入ることによって“あーなってこーなってそーなるのかー”って感じです。
※ネタバレ防ぐために説明が適当になってしまいました。
苦しい映画だった。
若い俳優さん三人にそれぞれ良い意味で何度もイライラさせられて……

有望な方々が集まった映画。
この年齢だから見られる
この演技力、良かったです。
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