エイプリル

黒い箱のアリスのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

黒い箱のアリス(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

最近見た映画の中でも文句なしに変な映画です。
父親の死などの悲劇を防ぐために黒い箱を通して過去にメッセージを送ったり自らが戻ったりするというストーリーです。ストーリーだけ述べると本当にそれだけで、近年映画やゲームなどでよく見られる設定と物語構成で、そこに驚きはありません。特にこの映画を見るような人が映画初心者であるということは考えにくく、そういう意味でストーリーはありきたりです。
この映画の優れたところは、空間づくりと間の取り方です。ガラス張りの非常にアーティスティックな家の中で虫の声が静かに響くセッティング、登場人物の感情の動きをじっくり見せるように表情を多く見せるなど、素晴らしい演出がたくさんありました。
ただここがこの映画の変さにも加担しています。空間音をたくさん聴かせて登場人物の動きをゆっくり見せるのに対して何か事件が起きる時はいきなりで一瞬です。普通の映画だったら逆です。どうでも良い部分はさらっと終わらせて、事件が起きる時は緊迫感を高めるようにじっくり撮るのに、この映画は全く逆の撮り方をしています。ここがこの映画の特徴で変なところで、素晴らしいところです。
上記のような変さを楽しんで味わえる人にはおすすめですが、流し見前提の人の場合は目を離している間に物語がさらっと進んでしまうので話を理解できないかもしれません。
本当に不思議なスピード感で進む不思議な映画でした。物語の不穏さを演出する上では非常に有効に働いていますので、じっくり観れる時間のある方には是非観てもらいたいです。
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