ほおづき

響 -HIBIKI-のほおづきのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.0
平手友梨奈さん=天才
という不文律みたいなものを認識してるかどうかで評価が二分されそうな映画だった。


常識にとらわれず自らの生き方を絶対に曲げない主人公が圧倒的な才能で文学の世界に革命を起こすっていうあらすじを読んで、これは好きなおはなし!と思って鑑賞したけど、なんだか無表情一辺倒で感情表現できてない中二病な主人公が傍若無人に暴れるだけの物語に感じた。


「アスペルガー症候群」
破天荒でコミュニケーション能力は無いけど、好奇心は人一倍強く専門分野で絶大な想像力を発揮するという症状で、ゴッホやダヴィンチやアインシュタイン、ジョブズやイチローなんかもこれだと言われている発達障害の一種。

この作品の主人公はまさにこれをモチーフにしてると思うんだけど、ただ調子はずれな主人公の意味不明な行動ばかりが強調され過ぎていて、実際に圧倒的な才能で何かを創作したっていう描写は無いに等しかった。。。癒し担当ぽい幼馴染の存在意義もよくわからず、アヤカ・ウィルソンさんが演じている人気小説家の二世の娘もなんだか中途半端な鬼才児で、小栗旬さん、柳楽優弥さんの消化不良感と、担当編集者を演じる北川景子さん一人が空回りしている感じは痛々しさすら感じた。。。


それでも、忌憚なく正論を突きつける主人公はいちいちかっこいいし、15歳の天才児っていう設定はやっぱりかなり面白そうな気がしたから、もしかしたら原作は好きかもと『響 〜小説家になる方法〜』をポチってみたら
やっぱり原作はすごく好きな感じだった!

小説好きなら、出版業界の裏側のエピソードや文章を書くことを生業とした人々のドラマに1ページ1ページ鳥肌が立つ感覚が味わえるし、各登場人物の設定も緻密で、一人ひとりしっかりとした設定がありつつ回が進むごとにじんわりと滲み出てくる感じもかなりいい。
 
あとまぁ、いくら新学期でナーバスになっていたとはいえ、本好きな主人公が本棚を2回も倒すか?wとかいろいろ突っ込みたいことはあるけど、周りの人間が補足説明してくれてるというのもあり、表情の少なさの中に照れてる場合や怒ってる場合やらの起伏がきちんと描かれていて、感情が乏しいとはいえ行動には説得力があって良かった。

ただ、エピソードはほぼ原作通りで主人公の雰囲気もそれほど大差はなかったのに映画化で若干トーンダウンしてるのを感じるのは・・・たぶん・・・


キ ャ ラ が 全 員 濃 す ぎ る か らw(原作の)

まず、ちょっと勝ち気で激情家だったとしても、才能を感じた投稿者不明の作品を通すために、たかだか入社3,4年目の編集者が電話してる最中の編集長の胸倉を掴むのは笑うw 

そして、超有名小説家の娘という重圧のもと、親友に圧倒的な差を見せつけられる苦悩を描かれる親友は主人公よりも主人公してたし、映画にはちょろっとしか出てこない各大御所小説家達のキャラ性もエピソードも濃すぎた。
なによりアスペの主人公に負けじと劣らずサイコパスな幼馴染の変態性がすごかったw
明け透けなく好意を示す幼馴染にだけ主人公が心を開いているっていう関係性がかなり萌えで、口数の少ない主人公と世間との窓口になっていて、橋渡しの役割になっているのはよかったけど、愛情表現がメンヘラぽくて怖すぎたw(ほめてる)
それなのに校内でもモテモテっていう設定もいいw


とにかく、メインの女性3人ともが主人公みたいなおはなしで、なおかつ編集者と小説家のドラマがたくさんあって2時間でおさめるには情報量が多すぎて説明不足気味だから、TVドラマとかでもっと丁寧に描いてほしいと思いつつもこういう地味な題材は視聴率取れないのかもと思ったけど・・・

主役一人を目立たせるための改変にはナニヤラ女優だか事務所だかへの気遣いを感じてしまったw

はいはい大人の事情大人の事情・・・

原作がいいよ。