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響 -HIBIKI-のZUSHIOのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.2
原作漫画は途中で飽きて3巻ぐらいまでしか読まなかったけど、映画の方は余計な学園ストーリーが省かれて、作家論・才能論だけに絞られてて面白かった。
響は「絶対的才能」という仮定的象徴であって、彼女を巡る周囲の人間ドラマと考えるのが『響』の楽しみ方とようやく分かった。そういう意味では小栗旬演じる苦労人作家の方にこそ感情移入させられリアリティーが感じられる。

この映画の結論は(ネタバレということではなく)、ロラン・バルトの「作者の死」すなわち「小説は書き終えた瞬間に作家のものではなく、読者のものである」というテクスト論なのであって、バルトによって1967年に提唱されたようなことが未だに浸透せず、現代の日本の文壇では作家重視の作家論的読まれ方をしていることへのアイロニーだと感じた。
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