Iri17

億男のIri17のレビュー・感想・評価

億男(2018年製作の映画)
2.5
お金とは何か?というテーマを描いているものの、いや知ってるんだよそんなことは、という印象を受けました。
恐らく多少文学や映画に興味があったり、哲学的な問題を考えたことがある人なら、この映画の提示するお金とは何かを聞いても「そうっすよ、わかってますよ、んなこたあ」って感じるでしょう。

ただ問題は、その答えに気付いてない、気付きたがらない人が多過ぎるということ。生まれてからずっといい学校に行け、いい会社に勤めろと言われ、その背後には金を稼いだものが勝者、金のないものは敗者という新自由主義的システムが、我々の無意識に植え付けられてしまっているため、多くの人がお金を使うのではなく、お金に使われる人間になってしまっている。
僕がお金なんて人生においてたいして価値あるもんじゃないなんて話をしたら、烈火の如くブチ切れられたりしたのも、幼い頃から無意識に植え付けられた新自由主義的なイデオロギーを否定されるのがアイデンティティの否定に等しいからだろう。

この映画で、主人公の友人九十九が作った会社は明らかにメルカリを意識しているんだが、メルカリなんてのは物が過剰に流通している資本主義の限界の前触れであって、経済活動に一対一の関係に基づく構築主義を組み込んだものであり、そういう意味でこの映画はすごく現代的だななんて思ったりはした。

ただ結局言ってることは大したことないし、モロッコに現地ロケ行ったからという理由で、意味もなくモロッコのシーンが多いし、日本の代わりにモロッコであった意味を感じず、使いたいだけじゃんと思った。

佐藤健、高橋一生、黒木華、北村一輝、藤原竜也、池田エライザらの素晴らしい演技に支えられてはいるが、全体的には退屈な映画だった。
2時間の中で1番盛り上がったシーンが松田るかがオタクたちを飲み会でムラムラさせるシーンでしたからね。そもそも松田るかを1分間だけカメオ出演させる意味が謎すぎる…
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