人気作の時かけやサマーウォーズと比べるとやや見劣りするかなと感じたけど、上記2作やバケモノの子なんかは物語としての起承転結がすごく丁寧かつ臨場感あるものだったのに対して、今作は細田さんが表現したいメッセージが前面に出た作品だったように感じた。そうしたメッセージがしっかりと伝わってきた作品だったが故に、冒頭に書いたような評価にも繋がるのだろうと思う。
とは言え総じて僕は好きな映画だった。家族というテーマにたいして、いい面だけを描くわけでもないし、家族の中につきまとう困難を無理に乗り越えさせようとするような描き方でもなく、僕たちに普通とは違う視点を提示してくれるという点が良かったし、それをアニメで上手く表現していて凄いなと感じた。
鑑賞後の満足度は、まぁここの皆さんの評価みたく二分されるだろうとは思う。現に鑑賞後1日たったタイミングで本作を思い返してみると、断片的なシーンや、映画に込められたメッセージが頭の中に浮かぶのだけど、いかんせん長編アニメが得意とする、濃厚な起承転結が弱かったな、という印象は拭えないかな。
