子供の想像力と共感能力。"庭"から始まる空想冒険譚の豊富なイメージに身を委ねる作品なので、断片的な思い出話に個人史を参照させられて思わず少し泣いた。「子供ってすごい！」という細田守の思いが画面に満ちていて、実際「子供すげえ！」って思えるようになる。
庭のある家に住みたくなる。
まあ逆に言えばその観客の個人史が呼び覚まされなければ全く響かない映画であるとも言える。冒頭の清潔すぎる家の描写にはさすがに自分も映画との遠さを感じましたし……。
しかし実際、小品として傑作では。
大きな事件と、それを解決するカタルシスを求めて観ると「あれ？」となるだけで、これまでの細田守ブランド（こういうのは作り手の意向に関わらず勝手に醸成される）の客層とはそぐわなかったんだろうな、というのが低評価過ぎることへの勝手な推論。要するにこの興行スタイルと相性が悪かっただけ、という……。
ジブリのマイナー作品くらいの感覚で観ればいいんじゃないかと思います。実際数年後には再評価されるのではないかな……。
子育て映画でありながら、親が子を見守る視点と、子が親(家族)を見上げる視点とが何度も逆転するところがエモい。「未来から、成長した妹のミライちゃんがやってくる」という出来事はその具象であり、視点が次第に溶けてゆく物語へ導く役割も担ってる。
端的に言ってバブみがすごい
アルバムの写真から人物が立ち現れてくるところはほとんど大林宣彦監督の『さびしんぼう』なんですけど、『時をかける少女』と『君の名は。』（≒『転校生』）に続くこれで尾道三部作のアニメ化がついに全作揃いましたね！
