ロッツォ國友

15時17分、パリ行きのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.0
二日酔いで列車に乗ったら、勲章を授与されたお話!!!!!


いやーーー
これは。
イーストウッド先生、そういうまとめ方もあるんすか。
やべえっすわ。
数多くの映画にスターとして出まくり、数多くの映画を撮りまくった彼だからこそ辿り着いた新境地、とでもいうべきか。
他の人が真似をして、この感じになるだろうか?
職人芸としか言いようがない。

作品自体は何というか…全然劇的じゃない。
普通なら名を上げる為あの手この手で奇をてらうべきところを、その辺一切を捨て、等身大の若者のフツーな人生を静かに積み重ねている。



「人生の転機は、いつ、どこで起きるか分からない」
「これまでやってきた事の何が役に立つか、その時まで分からない」
このたった2つのことを伝える為だけの90分間。


人生は映画じゃない。
だから、本作の大半は映画的な表現では構成されていない。
強い母を持つ、少しヤンチャな子どもらが、そのままありのままを生きているだけだ。

二度登場するセリフ(というか祈り?)とか、物語の核に関わるセリフもあるにはあるが、もう本当にそれ以外には何気ない日常が描かれるだけ。
奇をてらっていない的なことを書いたが、何というか逆に異彩を放ちまくっている。

こんなまとめ方があるのか。

事件シーンのアクションだって、別に見世物として派手にしようとかカッコよく撮ろうとかってやり方をしていない。
ありのまま起きたことを映像として再現しただけだ。読んで字の如く、ドキュメンタリックな映像表現が徹底されている。

そしてそんな構成の作品であるのに、観た後のわれわれの胸には確かな感動が込み上げる。

こんなまとめ方があるのか。


あった出来事を、言った言葉とあった映像で紡いだ物語。
もちろん、この表現方法ではタイクツに感じる人も少なくないと思う。賛否分かれても納得できる部分はある。
面白かったか?と言われると、ちょっと答えに困るだろうな。
ただ、人生は映画じゃないけれど、図らずも、映画になる人生にある日突然変わる事は、誰にだって起こりうる。
そういうことをこそ言いたいのかもしれない。


そういう描き方の作品なんで、まぁ正直、掘り出して分析するところがないです。
点数も…ねぇ、どうしたら良いんでしょうねぇww

ただ、観た後は無性に誰かと語らいたくなる、凄い作品ではありました。
面白い面白くないっていうより、いい作品を観れた。
そんな感じ。


……ところで、イーストウッド先生はどこに向かってるんでしょうかww
ロッツォ國友

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