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15時17分、パリ行きのmochikunのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.9
多くの映画監督が実在の人物を起用して作品を撮りたいと思うんでしょうけれど、当然ながら演技が下手だから使わないんだと思うんですね。
ですがもし監督の演出力がズバ抜けていれば、そんなの全く関係ないことを本作では証明しています。

それにしてもすごく削ぎ落とされているというか、必要最低限のシーンだけで構成されている作品でしたよね。でも、イーストウッドの作品ってわりとそういうのばかりな気がしますけれど。無駄が無いというか、無さすぎるというか、ありのままっていうか。

本作でもイーストウッドの思想なのか哲学なのか、とにかく独自のスタイルともいえる徹底した公平さでアメリカ(延いては世界)を描いていましたよね。
象徴的なのはヒトラーの自決した場所でのシーンでしょう。立場によって生じる歴史認識の齟齬というか、誤解さえも公平に描くって本当の意味でリベラルですよね。

とにかく、イーストウッドって感じで面白かったです。
ただ、子供時代の部屋の壁に「硫黄島からの手紙」のポスターを飾っていたのが鼻につきましたけど、もしかしたら実際に飾ってあったのかもしれませんね。
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