うにこ

人魚の眠る家のうにこのネタバレレビュー・内容・結末

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

私にとって、とても良い映画だった。苦しいほど泣いたけど、今まで自分が「脳死」について如何に何も知らず生きていたかを実感させられた。ものすごく考えさせられた、見終わってからずっと頭の片隅にある。
人は何をもって“死”とするのか、宗教的な事柄も含めば色んな解釈があると思うのだけれど...この映画では心臓が止まるのか、それとも脳死なのかに絞られる。私は元々、脳死=死同然だと思ってたのだけれど、この映画が脳死のことを調べる機会をくれて、考えが変わった。人の死の定義は誰かが決めるものではなくて、個人が定めるものだと今は思う。作中の母親のように娘の死を受け入れられずにいてもいいし、脳死の可能性を聞いて臓器提供を決断するのでもいい。結局は外野なんて関係なくて、身内の気持ちの問題だと思う。

この作品ですごく好きだったのは、最後にお医者さんと父親が話すシーン。「...ただやっぱり、死を迎えたと実感したのは心臓が止まった時かな。」って言う父親に、「だったらご主人にとって、娘さんはまだ生きてるってことになりますね。この世界の何処かで、彼女の心臓は動いてますから。」って言ったのが忘れられない。音楽も良くて思い出したら泣いちゃいそう。
脳死について調べた上で私は、以前と変わらず臓器提供をしたいなと強く思えた。臓器提供意思カードで脳死後か心臓が停止した死後の選択ができるように、人の死の定義は人それぞれ違っていいんじゃないかな。

映画のキャストも良かったのだけれど、ピアノの音楽と綾香のあいことばが良すぎた...カメラワークも抜群で、美しい光や自然の描写が私のタイプすぎた。ストーリー的に矛盾点というか、おかしいなって思う所もあったけれど、それも全部ひっくるめて良かった...脳死について考えたかったからとっても嬉しい!
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