azu

1987、ある闘いの真実のazuのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.7
見始めは、目まぐるしく登場人物が変わって誰が軸で動いていくのか分からない映画だなあと思っていたけど、
見終わってみると、この社会的変革に主役なんていない、誰からの視点も軽視出来ない事を表した結果がこれだったんだろうと腑に落ちた。

「タクシー運転手」で描かれた光州での民主化運動から7年経ってもなお、
国家は国民を傷つけ、殺して、騙していて。
その姿に何も変化がなくて、長い長い闘いだったのだと深い溜息をついてしまう…。

イハンヨル烈士が現在も存命であれば、ちょうど自分の両親世代。
同級生達はまだまだ社会で現役として働いている世代だと思うと、そう昔の話ではない事に、改めて驚かされる。

この作品を「実話を基にした一国の政治的・社会的変革を描いた良作品」で終わらせてしまうには、余りにも映画から受け取れるものが多すぎる。「良いものを見た、以上。」で自分の鑑賞記録に入れたくない位。

事実私だって、たった一人、自分が立ち上がったからって何かが変わるのか?と思うけど、
でもその一人が100になって、1000になって、10000になっていった時の力の大きさ・返ってくるものの大きさは遥かに大きいんだろうな。

韓国に留学していたちょうどその時、朴槿恵弾劾の社会的動きの真っ只中だったけど、
どんなに若い大学生だろうと、デモに行って、大学には弾劾声明を貼り出していたあの姿は、韓国ではごく自然な姿だったのかもしれない。
azu

azu