miporingo

愛の嵐 ノーカット完全版のmiporingoのネタバレレビュー・内容・結末

愛の嵐 ノーカット完全版(1994年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この時代はまだナチの残党がこんなふうに怯えて暮らしていたんだな。しかもこの人たち反省どころかまだナチズムに傾倒してる。倒錯した歪んだ世界でしか生きられないこういう人々を作るものは何なんだろうと考えてしまう。ものすごく限られた少ないセリフのシャーロット・ランプリングは、言葉ではなく、ちょっと奥二重でガラス玉のような目が饒舌でその演技が素晴らしく、夫と一緒にいるときの澄ましたマダムっぷりと、マックスに出会ってからの無邪気っぷりの差がわたし的見どころ。マックスが「わたしの天使」というけれど、ベッドに座りマックスに靴を履かせ、その足で彼を蹴飛ばし、そのあとわざと素足で割れたガラスを踏ませるところは「小悪魔」以外の何であろう。ふつうに考えると、ホロコースト時代に自分を弄んだ男のことなど殺してしまいたいくらい憎いはずなのに、再会して破滅するとわかっていながら激しく求めあってしまうその感情って、普遍化できるのか。それとも時間の経過によって、大人の男と若い女という関係から、初老の男と大人の女という関係に変わり、男を翻弄する側にたつことで復讐してるのかな。
さいご撃たれたあとに抱き合ってもいないし、重なり合ってもいない。それどころか、身体のどこも触れ合っていない。そのことにやり切れなさを覚えた。
miporingo

miporingo