TB12

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのTB12のレビュー・感想・評価

3.5
久々に1と2を連続で見返したからレビューをまた書き直す。

1は今や名監督ヴィルヌーヴの乾いた演出が映画の内容とマッチしてて雰囲気からして凄く良い。

巻き込まれ方ヒロインで観客の意見を代弁するかのような役であったエミリー・ブラントを主役にする事でアレハンドロとマットのベールに包まれた強キャラ感も上手く演出されててそれが映画の重厚感や緊張感のレベルを上げていたと思う。

そして今作ではそのエミリー・ブラントが居ない事でアレハンドロとマットが全面的に前に出て主役をやらなくてはいけず1では見せる必要のなかった言わばプライベート的な顔も見せなくてはいけなくなり謎キャラ感が消えてしまう。

これが良いのか悪いのかは分からない。
改めて1を見るとエミリー演じるケイトのキャラは少々ウザいのだが彼女を主役に置く事で「今何が起こってるのか」を細かく説明しなくても良かったと言う利点があった。

そしてアレハンドロとマットのキャラを掘り下げる必要もなく謎に包まれたカッコいい無双キャラを作り上げる事が出来ていた。

確かに2は1に比べて重厚感が減ってしまった。
まあその分銃撃戦やらは増えて派手にはなっているのだが娯楽映画に寄りすぎた気はする。
実際IMDbでも1のスコアは7.6に対して2は7.1に下がってしまっている(フィルマでは2の方が評価高いけどw)

俺も今作を初めて見た時はややガッカリした記憶がある(ただハードルを上げすぎてしまった自分も悪いのかも)

だが改めて見直すと確かにパワーダウンしてる感は否めないけどそれでも今作の脚本も悪くはないと思うのよ。

2人に人間味を持たせる事によってより感情移入を誘うキャラにする事が出来てるし派手にはなってしまったが映画をより人間ドラマ路線に近付ける事には成功してると思う。

それに結局のところアレハンドロはまだ家族の仇を取れてないし劇中言及されるカルテルの大ボスには辿り着いていない。

今作はあくまでメキシコカルテルを混乱させて内戦させようとボスの娘を誘拐するも逆にアメリカ側が内部分裂してしまい作戦を中止すると言うシナリオだ。

なので3への繋ぎ的な脚本だったのだろうと。

まあ興行の為にまだまだ終わらせたくないと言う引き伸ばしにも感じるが実際まだこのシリーズ終わってほしくないし個人的には有難いっす…。

そして1と2で大きく感じるのはやはり監督の差だ。

ヴィルヌーヴに比べてソッリマはなんというか凄くクリアに撮る人だなと感じた。
上にも書いたようにヴィルヌーヴは乾いた作風で画面のフィルターもどことなくそんな感じだった。
緊張感や間も凄く大事にしていた。

でソッリマは逆にとてもハキハキと明るく撮るタイプなのだなと。
銃撃戦の撮り方は中々迫力あって良かったと思うんだけど前作ラストのディナーシーンのような緊迫感のある絵は今作にはなかった。

全体的な構成力や編集力では両作そこまで変わらないとは思うが。

現時点で3の製作は全く進んでないみたいでそもそも作られるのかどうなのかも分からないようだがもしあるなら俺はまたヴィルヌーヴに監督をしてもらいたい。

それかこの際ウインド・リバーで監督としての才能もある事を証明したシェリダンが撮っちゃえば良い。

とりあえず3は絶対に作ってほしい。

続きが気になるのは当然だが単純にデルトロとブローリンが激シブでカッコいいからまだまだ見ていたいw
あと地味にメガネ君(ジェフリー・ドノヴァン)の有能感も好きだ。
TB12

TB12