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ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのJIZEのレビュー・感想・評価

4.1
アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に麻薬戦争の悲惨な現実をえぐり出すシリーズ新章の第2弾‼︎まずエミリー・ブラントがこの続編に参加してない事実に衝撃が走ったが本編を観るとそれ以上の容赦無さで繰り広げられる苛烈な攻防が腐敗した複雑な思惑を織り込み描かれている。また故ヨハン・ヨハンソンによる前作『ボーダライン(2016年)』のテーマ曲「The Beast」がドぎつい重低音で反響するアバンから作品の凄まじい世界観に直ぐ様突入した。本作は前作の不気味で超危険なトーンを踏襲しながらも男たちの感情の揺らぎやある一人の少女との出会いで男の命運が違った方向に歩み出す葛藤を浮き彫りに映し出している。また今回のプロットは麻薬王の娘を誘拐しカルテル同士の戦争を誘発しようとするが…という始発点からグイグイ想定外の事態に暗殺者アレハンドロが巻き込まれていく。主に前半が前作の雰囲気と同じサスペンスを保ちながらも後半でクライム風の違ったシフトに脚本が転換されてく印象を覚えた。何よりベニチオ・デル・トロのああいうボロボロな捨て身感は前作と比較すると貴重だったしジョシュ・ブローリンの戦友を想いながらも責務を全うする感情を押し殺す感じも兵士に徹した様であった。いわゆる三部作構成なのだろうか…エミリーブラントの復活を期待し次回を楽しみにしたい。
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