ごんてぃー

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのごんてぃーのレビュー・感想・評価

4.4
Sicario. 誰が何と言おうとDay of the Soldado。
観ると間違いなくあなたの色相が濁ります。前作の比ではありません。

初めから終わりまで、こんな隅から隅までドロドロしてる映画は他にあるんでしょうか?私には見当もつきません。
今作を以て改めてこのSicarioシリーズは「アレハンドロ」という一人の暗殺者(すなわちSicario)の物語なのだと実感します(松浦 美奈女史渾身の翻訳字幕にもそれが滲み出ていた!)。前作に引き続き、脚本を担当したテイラー・シェリダンはすげえよホント。こんな風呂敷の広げ方ができるなんて。もう小説家としても一山当てられますよ。主要キャラをアレハンドロとマットの二人に絞ったのは間違いなく大当たりだと思います(それ故に前作の500倍ドス黒い物語になっていますが)。世界の裏側の闇の面全てをかき集めたような脚本はもはや奇跡と言えるでしょう。「ウィンド・リバー」や「最後の追跡」もここまでではなかったと思います。演出的に新たに就任した監督ステファノ・ソッリマのなせる業でしょうか。

キャストの圧も相変わらず凄まじく、ベニチオ・デル・トロがとにかく怖すぎる。どう見ても俳優が本職じゃないでしょ。それ抜きにしてもキャスト全員目が死にすぎていると思いますが。いやー怖かった。

前作よりドンパチとアクションマシマシというわけでもありませんが、ミリタリズムの色が少し増しているのも本作の一つの魅力でしょう。前作と陸続きの世界観を殺さない絶妙な塩梅で、ストーリーに深みを出しています。

壮絶なクライマックスとラストで「締める」本作。早くも続編が楽しみです。果たしてどんな幕引きを見せてくれるのでしょう。
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