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クレイジー・リッチ!のmanacのレビュー・感想・評価

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)
3.0
アメリカ映画でありながら、オールアジアンキャスト&スタッフというなかなかの偉業を成し遂げたチャイニーズマネーの威力を見せつけた映画。
海のど真ん中の巨大な船上でど派手に行われるバチェラパーティや、成金趣味前回の調度品、高級車、庶民の日常からかけ離れた金持ちっぷりをこれでもかと見せつけるゴージャスぶり。
テンポよく進む展開、お決まりのハッピーエンド、余り深く考えずに軽い気持ちで観るにはちょうど良い娯楽映画。

麻雀の事をちょっと知っていた方がラストのレイチェルのセリフに共感しやすいかもしれない。
終盤、ヒロインレイチェルとレイチェルの恋人ニックの母親エレノアは麻雀をする。
エレノアはあと一手で上がり、最後の一枚を待っている状態。
レイチェルはその一枚が何だかを読んでおり、自分がその牌を捨てることによりエレノアに勝を譲る。
麻雀って、相手の待ち牌を読むことも戦略の一つではあると思うけど、随分と都合よくゲームが進んでいたな。
ゲームで牌を譲ることでエレノアを勝たせたように、結婚話もレイチェルが自分から身を引くことによりニックを幸せにする、ニックを想って決断したのは自分であるとエレノアに宣告した、気の強いレイチェル。


難点はヒロインに魅力がないことかな。
普段着姿のレイチェルを見ても特に何も感じないが、ドレスアップすればするほどやぼったく見えるレイチェル。何を着ても似合わない。
他のキャストは皆それなりに着こなしていて素敵なのに、レイチェルだけは最後までやぼったいままだった。
こういう映画ってヒロインがどんどん素敵になっていくところも女子心をくすぐるもんなのにね。それに、経済学の教授でありながらニックの事を全く知らないってもどうなの?って気が。
ニック=シンガポールのトップに君臨する大富豪の息子ってのを知らなかったとしても、ニックの実家ヤン家がシンガポール屈指の名門であることくらいは知っていても良さそうなのに、全く知らなかった。ニックがカフェで女性と一緒に居るだけでSNSでその情報が駆け巡るくらいの有名人なのに全く気が付かないってのも不思議。
世界情勢どころか身の回りのニュースにもあまり関心がないようだけれど、経済学教授ってそんなもんなんですかね。



ところで、ラブコメとディズニーはウェディングベルを鳴らしてハッピーエンド、その先の現実的なお話に目を向ける必要はないと思っている。
が、ニックと結婚しても幸せになれないんじゃない?と思った。
ニックは桁外れのお金持ちのパーティに一般庶民の恋人を連れて行くのに何一つレイチェルに伝えていない。レイチェルが家族や周りの人々から反感を買う立場であろうこと、身なりやマナー等レイチェルがその場に相応しい振る舞いができないであろうことは簡単に予測できるのに。
たまたまレイチェルには現地に超リッチなお友だちがいてドレスは貸して貰えたけれど、その友人がいなければ、みすぼらしい格好のまま、敵意ある人々の中に放り出されるところだった(ドレス借りても結局はみすぼらしいのが残念なレイチェル)。
レイチェルが嫌がらせをされていてもショックは受けているみたいだけど、自分がレイチェルを守ろうって素振りは全くなかった。
レイチェルの為なら家を捨てる覚悟もあるみたいな事は言っていたけど、たぶんニックの中に家を捨てるってことにどれだけの障害を乗り越えることであるかっていう理解はないと思われる。
結局エレノアがレイチェルに感化されて結婚を承諾したことになってはいるけれど、エレノアよりも強敵なおばあ様は反対したままだし、事態は何も解決していない。
これでは、ニックがそんなお金持ちでなく普通の家庭だったとしても、妻は1人苦労を背負わされることになるでしょう。
身分違いの恋なら、『プリティ・ウーマン』(90年)のギア様の方が守ってくれそうでいいね。
レイチェルは逞しいから、別に守ってくれる人がいなくても一人で戦えるのかな。


レイチェルの友人役、どっかで見た事あるなと思ったら、『オーシャンズ8』(2018年)のスリの役者さんオークワフィナでした。個性的で魅力のある役者でした。ヒロインよりずっと魅力的でした。
yahooで見たらアウクワフィナってなってたけど、オーク?アウク?どっち?
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