春イコ

ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbowの春イコのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

一期感想
https://filmarks.com/animes/1077/919/reviews/1959396

二期感想
https://filmarks.com/animes/1077/920/reviews/1959397

劇場版もとても好きです。
紙飛行機が虹を越えたお話。
それは諦めないことと、結果が伴わなくともその過程に価値を置いて描かれたことです。

浦の星女学院が統廃合され、統合先の学校にスクールアイドルの魅力を伝えようとライブをしますが、3年生不在の6人でのライブは失敗。魅力を伝えることができませんでした。イタリアに3年生を探しに行った時、立ちはだかったのはマリーの母でした。スクールアイドルのことを「くだらない」と一蹴します。
一人になったsaint snowもスクールアイドルを続けようとしますが、ストイックな姿勢についていける人はいませんでした。

再び、0という喪失感に襲われます。しかし千歌ちゃんが至った答えは、0から1にしてきた過程で心の中に残ったものがあるから、今まであったものが形をなくしても決して0にはならないという解でした。
Aqoursにとって3年生がいなくなっても、これまで積み重ねてきた日々や輝きを追い求めてきた過程があれば、繋がりを感じられる。不在に存在を感じられる。ここでも無から有(0から1)を見出す姿勢が表れています。
そんな想いを語りながら、劇場版の最後を飾る曲「Next Sparkling」の歌詞がノートに書かれていきます。
また、イタリアで彼女たちは各々の役割を果たすように曲作りのヒントを得たり、衣装作りの記事を探したり、振り付けを教わったりしていました。これは元々個性だった彼女たちが、役割を持ってその個性をAqoursに貢献することになります。それが後の虹を象徴していると思いますが後ほど。
saint snowは幻の延長戦によって失敗を克服し報われました。Aqours9人での延長戦ライブも、渡辺月という客観的な存在にスクールアイドルの魅力を伝えることに成功したのです。部活を一生懸命やる姿勢とそこに楽しさを見出す姿勢をわからせました。
ラストライブへの準備を進めるシーンで流れるBGMではアニメで印象的なシーンで流れたBGMにアレンジと歌詞が与えられた「キセキヒカル」には感動しました。

浦の星女学院の門を閉める時、そこには二期のように涙を流す9人はいませんでした。内浦の街にあるもの、浦の星にあったもの、それらは胸の中にあって消えないと信じることができた。つまり、消えても無くならない。0でもそこにある。
始まりは0だったというサンシャインの物語の始まりに戻るような台詞の意味合いがまったく異なっています。ここにも、世界の捉え方を変えることで世界を変えることができる姿勢を見事に体現しています。

そして最後のライブ。
Aqoursは6人でステージに立ちます。3年生の姿はステージにはありませんが、6人の表情は劇場版最初のライブの時とは違い、自信に満ち溢れた笑顔になっています。
幻想的な架空のステージで、「止まらない 忘れない」と歌う「Next sparkling」は強い刹那的な光でありながらきっとずっと消えない閃光なのだと思います。

また、二期で千歌ちゃんは何度も紙飛行機を飛ばしました。劇場版の冒頭とラストの砂浜のシーンでも紙飛行機が現れます。サンシャインの物語は諦めない話だと言いました。
劇場版でも千歌ちゃんは紙飛行機を虹の向こうへ飛ばします。飛ばしても何度も砂浜に落ちるしかない紙飛行機は、何度も落ちるから何度も飛ばすことができます。その紙飛行機がずっと遠くの虹を超えた時、羽根に色がつくことと同様に、何もないと思っていた田舎にある空と海の青の中に、まるで青い鳥のように溶けていく様子に、諦めなかったことの成就や大きな報いのようなものを感じて、ただただその映像と文脈のダイナミックさに感動しました。紙飛行機が超えた虹は7色ではなくAqoursのメンバーカラー9色です。それぞれの色が個性を象徴しています。イタリアで各々の個性が役割を持ってAqoursに貢献したこと。それが個性へと至った証として紙飛行機が虹を超えた瞬間なのだと思います。
そして作中でいつも画面に映り込む太陽の光はいつも彼女たちのそばにあるように、その輝きは私たちの日常にも満ち溢れています。
とても長くなってしまいましたが、私はAqoursが好きです。μ'sはもちろん伝説です。人生の肯定や「それぞれが好きなことを信じていれば」という歌詞にあるように、好きなものを楽しむことで夢を叶える。それが「人生を愛する」ことという思想はとても強いメッセージです。
その思想を受け取ったAqoursはμ'sに憧れます。けれど努力しても奇跡は起こらない。終わりを阻止することもできない。そんな姿に共感しやすかったというのもありますが、紛れもない私たちの姿だと感じました。そんなAqoursの姿を胸に抱きながらこれからも頑張っていきたいと思います。

この個性への推移がどのように虹ヶ咲に繋がっているのか気になります。
春イコ

春イコ