是枝監督の描くこどもや家族は、胸が締め付けられるほどの切なさと哀しさと陰を感じる。
家族という幸せな言葉の裏側にあるのに、なかなかみようとしないこと、みなかったことにしたくなる物語を全部広げてテーブルの上に並べているような感覚。
家族、繋がり(血なのか血以外のなにかなのか、それは何なのか)、絆、愛情、正義と不義。
この映画の中の家族は万引きという犯罪で繋がっていてそれは決して認められることではないけど、犯罪でしか繋がれなかった。でもそこには情と愛情が溢れている。
ありきたりだけど、家族ってなんだろうな、愛情があるってどういうことなのかなって考えてしまう。
安藤サクラが「捨てたんじゃありません。人が捨てたものを拾ったんです」と力強くいうシーン、すごく沁みた。
夫をとられそれでも強く生きてきた樹木希林。
樹木希林の年金をあてに暮らしているけど子供への愛情が深く慈愛に満ちているリリーフランキーと安藤サクラ。
自分を責める風俗店の常連、池松壮亮。
駄菓子屋の主人、柄本明。
そして翔太とゆり(じゅり)役のこどもたち。
さやかというもう1つの名前を仕事に使うあき。
この人たちの間にある強いつながりは、なんだったんだろう。
歪んでいながらも深い愛情を感じる素晴らしい役者さんたち。
もう一度観たい映画です。