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万引き家族のIdeonのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.5
治と信代の夫婦、祖母の初代、亜紀と祥太、一見、普通の家族に見える彼らには何の血のつながりもない。初代の年金を当てに、足りない分はスーパーで万引きをして暮らしているのである。冬のある日、万引き帰りの治と祥太は、アパートのベランダで震えている女の子に出会う。かわいそうに思った治は、家に連れ帰ってしまうが…というお話。
万引きがテーマの一つになっていることから、批判されている向きもあるが、やはり、パルムドールは伊達ではない。傑作である。キャスティングが絶妙で奇跡的である。反社会的人物を演じさせるとハマりにハマるリリーフランキー、全盛期の桃井かおりを思わせる安藤サクラ、若手演技派の筆頭の松岡茉優、デビューした頃の柳楽優弥としか思えない城桧吏、それに最早名優の域に達した樹木希林が加わっている。犯罪で繋がっている擬似家族にもささやかな幸せがあるという、風変わりな人間関係が描かれているが、彼らの演技の素晴らしさで、観る者に説得力を持って迫ってくる。細野晴臣の音楽も出色の出来で、往年の羽仁進監督の作品のような雰囲気を醸し出している。
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