治と息子の祥太は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅりを見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀を含めた一家は、初枝の年金を頼りに生活していた。
松岡茉優の水着とオナニーが観られる時点で、もうこの映画は五億点振り切ってるんだけど、敢えてそれ抜きで観るとこのくらいかなという点数。まあ世界一ありがたくないオナニーシーンではあったし、池松壮亮に死ぬほど嫉妬してしまったのはマイナスか。
最も印象的なシーンはやはり松岡茉優。彼女が明らかにこちらに向かって愛ではなくどうせカネのために繋がっているんでしょ?と半ば諦めに近い狂気すら感じる笑みでじっとみつめる様は妖艶だ。仮に恋人とあの映画一緒に見に行ってたら凍りついたろうな。
安藤サクラの熱演も素晴らしいし、樹木希林が入れ歯抜きながら喋ってるあたりなんかも(敢えて言おう、汚え)みんな狂ってるとしか思えなくて最高最高。その分、今作は割とリリー・フランキーがおとなしすぎるくらいな気もした。
個人的には、結局の所各キャラクターの出自が最後まで謎のままで終わるところも好みだ。特に松岡茉優なんかは彼女がどうしてああなってるのかとか、その後もよくわからないし。池松壮亮も出てこないし。
ただ全体的なプロットはもろに『誰も知らない』だ。というか同じ過ぎて驚く。何が違うの?って思えるくらい。根幹の構造が犯罪一下の裏で彼らは何を考えているのかっていうものだから似るのはわかるけど、死体埋めてしまって彼らのセカイが終わるところとか、同じ部分を挙げだしたらキリがない気がする。
そしてなにより、最後の最後ですら結局何が正しかったのか、善悪の境界が完全にウヤムヤのままで終わるところは是枝監督らしいとしか言えない。